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特に手の込んでないただの肉野菜炒めを豪快に詰めただけのものと、昨日の夜に仕込んでおいたパプリカと玉ねぎのピクルス。あと大量のおにぎり。
ちょっと多過ぎるかなと思いながら詰めたのだが、先輩もいるなら丁度良かったかもしれない。
それぞれのタッパーを開けて並べてやると、トラが「ピクニックみたい!」とはしゃぐ。
先輩も「おぉ、」と呟いて食い入るように見つめる。
やめて恥ずかしい。
そういえば箸を二膳しか持ってきていないと思ったが、先輩はシンクの方から箸を取ってきた。
そんなものまであるのか保健室。
そのまま直ぐ箸をつけようとした先輩をさっと制した。
疑問符を浮かべて俺を見る先輩。
俺は何も言わず正面に向き直り、両手を合わせて「いただきます」とわざとらしく大きめに呟いた。
それを見たトラがおかしそうに笑いながら俺に続く。
先輩も俺の意図に気付いて、決まり悪そうにしながらもきちんと「いただきます」をした。
「お、美味い」
「だろー!?マジ良妻」
「黙れ食わせんぞ」
「ごめんなさい」
「本当すごいな。いつも料理してんのか?」
「こっち来てからは節約も兼ねて自炊しようかと思いまして。全然大したもんは作れませんが」
「いや、大したもんだよ。大体ここのヤツらは米すらろくに炊けないからなぁ」
「……なるほど」
先輩の反応に嬉しいが大袈裟じゃないだろうかと思ったが、米すらろくに炊けない人達と比べたらまぁ上出来か。
とりあえず不味いと言われなくて良かったと安心した。
器用にもずっと喋りながら食べるトラと、そんなトラの食べこぼしや好き嫌いを注意しながら食べる先輩を眺め、親子かと心の中でツッコミを入れた。
トラが先輩達と仲が良いのはやはりもともと1つ歳上だからだろうか。
クラスメイト達よりも、佐野先輩や桐生先輩、この先輩との方が仲良さげに見える。
俺は高校入学以来ほとんど親しい友人同士みたいな絡みがなかったから、トラ達や他の周りの生徒達の関係を見ては羨ましいと感じていた。
だからと言って流血レベルの過激なスキンシップは御免だが。
トラ以外とも仲良くなれるよう頑張らなきゃなぁ、とぼんやり考えた。
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