アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
先生は忙しいようで、寮までは案内できないと申し訳なさそうに言われた。
初めての場所とは言えど俺はすでに在学生なのだから、そこまでしてくれなくていいのに。どこまでも良い先生だ。
ちなみにZ組を受け持つ先生は各学年に1人ずつ、計3人で授業から何まで全て回しているそうだ。そりゃ大変だろう。
Z組の生徒はみんな先生の言うことをちゃんと聞いているのだろうか……苦労してなきゃいいけど。
早くも好感度大な黒崎先生の苦労症を案じつつ、先ほどもらった地図を見ながら寮へと向かう。
今日は日曜日。
遊びたい盛りのZ組の生徒たちはほとんど外出しているようで、校舎はしんと静まっている。ここに至るまで他の生徒には1人も会っていない。
本校舎の方では外出するのにいちいち申請を出して許可をもらわなければならないという手間がかかっていたのだが、こちらでは自由に外出し放題のようだ。その点については大きいメリットだ。今までより簡単に街に出られるのは非常に嬉しい。
しかしこうも静かだと逆に落ち着かない。どうせならうるさい方が安心するのに。
ちょっとビクビクしながら寮棟までたどり着いたが、そこですら人の気配がない。本当にここ生徒いるの?
いや、余計なことは考えないでおこう。きっと明日には生徒たちで賑わっているはず。
重い荷物を抱えなおし、寮内の地図を確認して、自分の部屋へと向かった。
「204、205……あった、206」
すでに自分の名前のプレートが入っている。
そこには、同室者であろう生徒の名前も。
「やなぎ、とらすけ」
柳 虎介。
なんだか人懐こそうな名前だ。勝手なイメージだけど。そんな人だったらいいなぁ。
インターホンがないので、一応コンコンと扉を叩いて反応を待ってみる。
……無反応。外出中か。
残念に思いながら、もらった鍵でガチャリと開けて中に入った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 90