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その後、柳くんは2階から落ちたにもかかわらず無傷で元気に教室へやって来た。丈夫すぎる。
ちょうど先生の連絡も終わり、授業が始まるまで自由時間。
1時間目は生物で、理系科目は全て黒崎先生が担当らしく、そのまま座って生物の教科書をぼんやりと読んでいる。
Z組の先生ってかなりハイスペックじゃないと務まらないんだろうな、としみじみ感心する。
遅刻ながらかなりアクティブに登校してきた柳くんは真っ直ぐこちらに向かって来て、俺の後ろの席に着いた。
と同時に「なぁなぁなぁ」と俺の背中をバシバシ叩いてきた。自己主張の激しい子だ。
振り向くと、嬉しそうな顔で身を乗り出す柳くん。
「お前もう部屋移動してきてんの?」
「うん。昨日。勝手にモノ動かしちゃ悪いと思ってまだ荷解きしないで隅に荷物置きっぱなんだけどね」
「あーごめんな!昨日は抗争あって帰れなくてさ!さっき戻ってきて教室直行してきたんだー」
「……」
なんか今物騒な単語が聞こえた気がするけど触れないでおこう。
柳くんの顔や腕にうっすら傷があるのも気にしないでおこう。
へぇそうなんだーと適当に流していると、柳くんは「ところでさ!」と興味津々な目で俺の顔を覗き込んできた。
「なんで眼帯してんの?もしかして厨二病なの!?」
純粋に面白がっているような様子で、笑いながら直球で聞いてきた。
俺の眼帯は他のみんなも気になっていたのか、一気にみんなの視線が集まる。
…………。
束の間、俺は頭の中で考えを巡らせた。
そして、ほとんど反射的に決意した。
……仕方ない。
真実を白状するしかない、か。
俺はふっと憂いの笑みを浮かべ、左目を覆い隠す眼帯に手を当てた。
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