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意外なことに、Z組の生徒たちは割と真面目に授業に参加していた。
さぼって教室にいない生徒や、いても寝てたり喋ってたりの生徒も多数いるが、それでも思っていたより平穏で驚いた。
もっとこう……学級崩壊レベルのめちゃくちゃな感じを想像していたから。
厄介者集団ではあってもやはり燈桜学園の生徒ということか。良いとこのお坊ちゃんも当然いるのだろう。
そんなわけで数分おきに消しゴムや上履きが俺に向かって飛んでくるというちょっとしたちょっかいを出されるものの、授業は問題なく進んでいった。
というか上履き投げたやつ、その後裸足で授業を受け続ける羽目になるだろうにサービス精神旺盛だな。拾ってやらんぞ。
あらかた板書を写し終え、文系担当で2年担任の有野先生の話をぼーっと聞く。
ちなみに有野先生は可愛らしい外見でキャピキャピしてる。髪も長めでふわふわさせていて女の人って言われても分からない。
生徒たちから人気があるようで、「あーちゃん」と呼ばれているのだそう。
そんなあーちゃんでも、やはりハイスペックなのだろう、授業は非常に分かりやすくて楽しい。
上位クラスよりもこっちの方が絶対成績良くなりそうなんだけど。まだあと1人の先生は見てないけど、きっと良い人に違いない。
俺をZ落ちさせたあの事件に感謝だ。
しみじみ感慨に浸っていると、背中をバシバシと叩かれた。普通に痛い。
犯人は言わずもがな後ろに座るトラだ。
トラは落ち着くというスキルをこの歳にして未習得のようで、常時そわそわウロウロしていた。見なくても背後でうごめいている気配がしていたものだ。
授業中だいたいはスルーしていたのだが、これは確実に何か用があるのだと分かって振り返る。
「なぁなぁお前昼飯持参?」
「んーん。持ってない」
「じゃ食堂だな!俺もなんだ!3・2・1で行くぞ!」
「え?」
どういう意味?と首を傾げる俺にお構いなく、トラは俺の腕をがっちり掴んだ。
そして教室の時計を見つめてカウントダウンを始める。
「3、2……」
「??」
「1、」
「う、わっ!!?」
授業終了の鐘が鳴り始めた途端、強く腕を引っ張られ、椅子を蹴っ飛ばすように走りだした。
おい!痛いし転びそうだしなんなんだ!!トラ足速っ!!
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