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「ほんま、お前には敵わんなぁ…」
手を解かれて、久夜が先を歩きだす。
俺はそれを追って、離された手をまた繋ぎなおした。
…彼方が繋ぎ止めたかったもの。
…久夜が隠していること。
やっぱり俺にはわからないことばかりだけど、でも俺は、久夜とも彼方とも繋がってたいと思う。
我儘なのかもしれない。
それでも俺にだって、失くしたくないものがあるんだ。
「いつか……、久夜も俺に、秘密にしてること、話してほしい。
すぐじゃなくていい。全部じゃなくていいから。
少しでもいい。俺も久夜のこと知りたい。
今だけじゃない、過去も、未来も、全部の久夜を好きになりたい。」
「……せやな、話したる。
正直、お前には秘密にしておきたいこともたくさんあるんやけど……、しゃーないな。
けど、今日はもう遅いから、帰ろか。
そのうちちゃんと話すから。待っててな。」
「うん。」
真っ暗になった空に星が輝きだす。
電灯の明かりが灯る暗い帰り道を、久夜と手をつないで帰った。
…いつか、久夜のことをたくさん知れたら。
俺はもっと久夜を好きになるだろうな、なんて思いながら。
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