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「言ってないわよ。それよりもう行くの?
少しくらいゆっくりしていったらいいのに。」
「今日は荷物取りに戻っただけだから。」
「そう?久夜くん、今度来たときはお茶でも飲んでゆっくりしていってね。」
「ありがとうございます。お邪魔しました。」
俺がいない間に仲良くなったのか、にこにこしながら手を振る母さんに、頭を下げた久夜。
行こう、と言って家をでた。
「優しそうな人やね。」
「うーん…まぁ優しいかも。」
あんまり怒らないし。それは昔からだ。
何かと自主性を重んじる人で、宿題とか勉強とかを強制されたことはない。
やらないものは、自業自得、みたいな感じなのかもしれない。
「優しい親から優しい子が育つとは限らへんけど、梁瀬はそのタイプみたいやな。」
「別に優しくないよ、俺。」
「そう思ってるんは梁瀬だけやで。」
「そうでもないと思うけど。」
周りからしたら俺より久夜の方が優しい部類に入るだろう。
部活の時も周りをよく見てるし、クラスでも意外とまとめ役をしていたりする。
頼んだらわりとなんでもやってくれるし、久夜が何かを断ってるのは見たことがないくらい。
困ってる人がいたら久夜の方から助けてるし。
優しいのは本当、久夜の方だ。
電車を降りて、前に1度きた久夜の家に向かう。
相変わらずの豪邸っぷりに圧倒されながら、門をくぐる。
「外でなんかやってるの?いい匂いするけど。」
「あー、それな。説明するんめんどいからとりあえずついてきて。」
ちょっとばつが悪そうに頭をかく久夜。
変なの、と思いながら、久夜についていく。
玄関にもってきた荷物を置いて、リビングに向かうと、リビングからでれる庭があるらしい。
中庭って、相当すごくね?
大きなガラス戸を開けた久夜は小さく手招きをして俺を呼んだ。
「中庭に何かあるの?」
「あ、やっと帰ってきた。お帰り、久夜。梁瀬君も。」
「八尋先輩…、え、千先輩??」
「お邪魔してるよ、久夜くん。梁瀬くんもこんばんは。」
中庭には、八尋先輩のほかに、千先輩と閑流先輩、衿夜先輩に京介先輩、それに蒼(あお)先輩という、試合のスタメンの先輩たちがバーベキューをしてた。
その光景に俺は開いた口がふさがらない。
「え、久夜言ってないの?ちゃんと言ってね、って言ったのに。」
「まさか、こんな驚くと思いませんやん。平気かなーと思うたんですけど…」
とりあえず状況を整理しよう。
俺は久夜の家に泊まりに来た。
久夜は八尋先輩と一緒に暮らしてる。
その先輩がほかの先輩達とバーベキューをしてる。
…普通によくある光景だ。大丈夫、大丈夫…
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