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「久夜くん!梁瀬くん!!」
「千先輩…!」
体育館に入るなり、笑顔の千先輩が迎えてくれた。
久夜には、あっちに並んで、と言って、俺にはこっち、と言って端の方に一緒に行く。
「本当に来てくれて良かった。入部希望はいっぱいいても、マネージャーっていないんだよね。」
「そうなんですか?あんなにいっぱいいるのに…」
久夜の並んだ方を見ると、ざっと見ても20~30人くらい……いや、それ以上いるのに。
その中でもやっぱり久夜は大きいのか、頭一個飛び出てる感じがする。
「高藤はバスケが強いからね、皆バスケしに来てるんだよ。マネージャーはバスケしないからね。」
「なるほど……尚更、俺、頑張ります。」
「やる気があるのは嬉しいなぁ。とりあえず、部員の顔から覚えてこうね。」
「80人くらい、いるんですよね…??」
2、3年生で70何人いるって、さっきの部活紹介で言ってた気がする。
……覚えられるだろうか。
「うん。大丈夫、すぐ覚えられるよ。皆個性的だから。
あとね、仮入部で覚えとくと、本入部した時楽なんだ。」
「そうなんですか?」
「名前覚えることから始めなくてすむから、すぐに手伝いが出来るんだ。
だから、1週間かけて、2、3年生覚えようか。」
「は、はい…!頑張ります…!!!!」
約80人…クラスの約2倍。中学の時の部員の4倍…
いやいや、頑張って覚えよう。
まずは3年生からだよな……
千先輩と邪魔にならないように1階を歩き回る。
副部長の八草閑流(しずる)先輩と橘木衿夜(えりや)先輩。何て言うか、八草先輩は茶髪の天パで、橘木先輩は黒髪に眼鏡の人。
八尋先輩と合わせて、凄く強そうな3人組に見える。
「あっちの目付きが悪いのが、石神凌。そこのちっちゃいのが、篠崎歩。
あとはねー、あぁ、あそこでフリースローしてるのは、新垣京介(きょうすけ)って言って、試合にも出てる上手い人なんだ。」
「へぇー…手足長いですね。」
「京介??京介は手足長いよ~身長が198だったかな?あるから、その分手足長いんだよね。
京介のバスケは綺麗だよ。ちょっと強面なのがね、怖がられちゃうけど、あぁ見えて世話焼きなんだ。」
「優しそうな気がします。」
新垣京介…先輩か。
やってることは、他の先輩と同じはずなのに、凄く惹かれる。
何て言うか、ずっと見てたくなる……みたいな??
素人目でも、凄く綺麗。
「バスケも上手いからね、見てると楽しいでしょ?」
「はいっ!」
「まぁ、八尋もあれくらい綺麗だよ。
ただ、見惚れてると危ないから気を付けてね。」
「…あ、はい。」
ぼけーっとしてると、ボールにぶつかるってことかな。……気をつけよう。
怪我して、周りに迷惑かけるとか、しゃれになんない。
「んー、3年生はこのくらいかなぁ……あとは、実際話して覚えるのがベスト!!」
「話しかけるんですか…??」
…俺、そんなこと出来ないよ、多分。
人に話しかけるとか……怖っ。
「あぁ、皆から勝手に興味本意で近づいてくるから大丈夫だよ。それに、俺と一緒にいればね、平気。」
「信じてますからね…千先輩……」
「あははっ!!梁瀬くん面白いね~」
「……笑わないでください。」
あっちで八尋先輩と話してるのが、相楽先輩で…
あっちで指揮してるのが、橘木先輩と八草先輩。
それから……それから………
40人近い3年の先輩を心の中で、もう一度確認していく。
「先輩、あの人の名前…なんでしたっけ…?」
「志筑麻斗ね。」
「そうだ、志筑先輩……」
うーん、まぁまぁ、かなぁ……
人の名前を覚えるのはそれなりに得意なんだけど、顔と一致させるのが、中々難しい。
これにさらに2年生と、同学年の人を合わせて100人以上……頑張ろ、俺。
役に立たないとか、申し訳ないし。
「あ、梁瀬くん、俺ちょっとだけいなくなるから、ここにいてね。」
「??はい。」
タッタッと走って行った千先輩は、八尋先輩の方に向かっていった。
何かを話してるけど……
残されたから、もう1回復習する。
……石神先輩と篠崎先輩。……あっちにいるのが、鈴原先輩。
あっちは……えっーと、あ、あ………あっ!浅海先輩だ!!
うん、大分覚えられてきたかも。
「梁瀬くんごめんね~」
「大丈夫ですよ。名前も大分覚えてきましたし。」
「梁瀬くん優秀だね。」
「……そんなこと、ないですよ。全然。」
今日はこれ以上詰め込んだら忘れそう…
明日は2年生も、だもんな。
3年の先輩はわりと覚えやすかったけど、上手く行くだろうか……いや、まだまだ、始まったばっかだし…弱気になるな、俺。
「あ、そうだ。今日はもう、帰っていいって。」
「え、もう?」
「実はこれでも、二時間経ってるんだよ。梁瀬くん凄い集中してたからね、気づかないのも無理ないよ。」
「気づかなかった。……じゃあ、帰りますね。今日もありがとうございました。」
「また、明日も来てね~」
「はい!ありがとうございました。」
気づいたら午後4時を指す時計を見て、千先輩に頭を下げる。
今日も楽しかった。
久夜を含めた1年生は、まだ部活をしてる。
それを見てたら久夜と目があって、ニコッと微笑まれた。
……今のどうゆうこと?え、待ってた方がいいってこと??
いくら久夜と言えど、イケメンに微笑まれて若干固まる。
あいつ、女子にモテただろうな、とか考えたよ。
だってイケメンだもん、あいつ。
「あ、梁瀬くんもう帰る?」
「はい…することもないので。」
「久夜がさ、待っててだって。まぁあと5分くらいで終わるから。
待っててあげてくれると嬉しいな。」
「…えっと…正門のところにいる、って伝えて貰えますか?」
「あぁ。今日はお疲れ様。」
「お疲れ様、です。」
入り口近くにいた八尋先輩にも頭を下げる。
なんか、雰囲気はやっぱり兄弟だよなぁ。
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