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転職しました(一時的)
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佐々木真は着なれないスーツを身に纏い、ある家の前に来ていた。
そこは、郊外にひっそりと、しかし堂々と佇む威厳すら感じるその家。
洋館であれば、豪勢さがものを言うが、「和」オンリーだからか、気安く中へは入れないのだ。
「はぁ……。要領のよさ、今回も爆発してくれよな」
何度も訪れたことがあるその家に、いつになく緊張する。
あの中学生を助けた一件以来、一度も会うことなく3年が過ぎた。
探偵として様々な経験をしてきた佐々木にとって、この3年は準備期間でもあった。
とりあえず今持てるだけの情報を頭に叩き込み、今ここにいる。
探偵を一旦辞め、今日から転職をする。
佐々木はこれから起こる全てに、覚悟を決める儀式のように、深い深呼吸。
(よし)
4着分のスーツを片手に、「米田家」のインターフォンを押した。
固く感じてしまうのは、佐々木の中の邪念があるからだと思ったが、実際、本当に重く作ってあった。
重厚なイメージを与えていたが、それは事実だった。
すぐにあの人が出る。
「こんにちは、先日御伺いしました佐々木です。例の補佐として来させていただきました」
「おお!早かったな、助かった。今開ける」
程なくして出てきたのは、面接で何度も顔を会わせていた"米田社長"、俊文だ。
若づくりだが、44歳。
歴とした「中年」だ。
だが、初対面の時は流石に驚いたものだ。
数多の美魔女と言われる人たちを見てきたが、それは男にも通ずるものがあると、改めて思い直したほど、佐々木がうけた印象は強かった。
狼狽だってした。
佐々木はらしくもなく、畏怖する感情を覚えた。
この人に勝てるのか?
そればかり、佐々木を支配し、目的を忘れかけた。
そう、「米田家」に就職したのは他でもない。
"米田龍"。
あの時の中学生を手に入れるために、ここへやって来たのだ。
その父親が怖いだとか、そんなことはいってられないのだ。
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