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「さ、いきなりだけど龍に会ってもらう。口実はしっかりと事実にしとかないとな」
「和」にこだわった屋敷に通され、ある一室で立ち止まる。
そして、釘をさすように、仕事内容を復唱する。
「あくまで君はアイツの世話係。執事だ。寝静まった夜中に君の本来の仕事を頼むことになる」
「分かっていますよ。社長、成功させるため、ですから」
だが、佐々木は早くも化けの皮が剥がれそうになる。
愛想笑いすらできないのだ。
目の前の男に従順に尽くし、信用させなければならないのに、表情筋が全く動いてくれない。
それは、面接の時からだった。
俊文を前にすると、どうしても表情がうまく作れない。
この人を欺くだけに、寸分の狂いも許されない状況。
愛想笑いは必須だ。
「ふっ。くすりとも笑わないなんて、冷徹だな。一切の曇りもない。やはり、正解だった」
「光栄です。私自身、悪事は嫌いではないですしね」
「お前もなかなかだな」
俊文はなかなか人を信用しない。
感情の見えない、というよりは感情のない佐々木に安心を抱く。
家族を持ってはいけないタイプの人間だ。
それ故に、龍への同情を俊文の前でしそうになる。
バレれば救い出すことも、不可能だというのに。
俊文はノックをせずに龍のいる部屋へ足を踏み入れた。
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