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said 米田龍
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たった一人の龍の親友、北斗励(レイ)と共に体育の授業を受けている。
今はバスケットポールの試合の佳境。
「励!!今田からパスもらえ!」
「おっしゃ、任せろっ」
ピポッドターンを巧みに使い、今田から受け取ったボールをコートに弾ませながら、ゴールへと急ぐ。
あと数秒で終了のホイッスルがなる。
疾風迅雷のごとく、コート内に切り込みを入れるように駆け回る。
「ぅおらっっ!」
励の野太い一球入魂の声が響く。
それと同時にホイッスルもなる。
皆が、放物線を描くボールに釘付けられる。
ゴールに引き寄せられるのは、ボールだけではなく、観るもの全てのようだ。
ブザービートを期待したこの一球。
ボールが落ちて、試合が終わり、その後に加点されることは、なかった。
誰もが見たい奇跡のシーン「ブザービート」は実現させることが出来なかった。
落胆の色を滲ませる励に龍は「残念だったな」と一声。
ステージ側にぽつんと見学させられている龍自身も「残念だったな」と体育が出来なかったことに、内心自分を慰める。
何て言ったって、昨日から来た「佐々木真」。
世話役、所謂執事が、強引的に体育の教諭と話をつけていたらしく、これからの激しい運動はさせてもらえない。
家でも耳がタコになるほど、言い付けられたのだ。
確かに運動はできないが、体育が嫌いだとかは言ってないはずだ。
それなのに、調べてきた情報が誤っているのか、体育は危険だ、その一点張りで夜が明けてしまった。
励だけが龍の隣で持ち上げられるのは、なんか、癪なのだ。
そんな妬み紛いな眼差しを向けつつ、教室へ二人で戻る。
その時、昨日、佐々木が来る以前の事を思い出していた。
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