アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
70対策
-
葉月さんは多分着付け部屋にいるはずだ。
伊助さんは…どこにいるんだろう……?大抵廊下とか玄関で会うから、伊助さんの主にいる場所をしらない……。
まずは葉月さんだ────!!
*************************
「葉月さん、いらっしゃいますか」
着付け部屋からは話し声が聞こえたため、ここにいればいいのだが……。
障子の前に正座して、葉月さんに呼びかける。
「楓かえ?ちょいと待っていな」
あ、まだ着付け中?
中からは着付け作業を急ぐようにと、葉月さんの声が聞こえた。
そうだよね……。あの花魁の衣装は自分じゃ着れないよね。
化粧もしなきゃだし、髪もあるし……。何かと大変だ。
「楓、入っておいで」
「はい」
数分待ってから、中からの葉月さんの指示に従い、障子を開けて中に入った。
中にはしっかりとした姿の葉月さんと2人の女子がいた。
「シノ、イネ、下がっていいよ」
「「はい」」
2人の女子は促されるままに、俺の横を通って部屋から出ていった。
2人も、ここで働く子かな?
「あの子達は禿(かむろ)花魁業の下の子さな」
禿……。新造より下の、入りたての子達か……。
「で、用は何だい?」
「それなんですが、今、伸之助さんがいらっしゃってまして、ちょっと込み入った事情が……」
「今済はん?……聞かせておくれ」
伸之助さんの名前が出た途端、葉月さんの目は少し鋭くなった。
「実は、伸之助さんの奥様が────」
✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆✩°。⋆
粗方の経緯を全て話すと、葉月さんは1度ため息をついた。
……面倒なこと持ってきちゃった……もんね……。
「事情は分かった。やるっきゃないねぇ」
「葉月さん…!」
不敵な笑を浮かべて、満足気に頷いた葉月さんはとても楽しそうで、『面倒なこと』なんて思っていないと伝わってきた。
よかった……!!
「伊助にはもうかけあったのかい?」
「いえ、俺伊助さんの居場所知らなくて……」
そうだよね……葉月さんがいいって言ったって、番頭である伊助さんにも相談しなきゃだ。
「じゃあ一緒に行こうか。この時間なら多分自分の部屋にいるだろう」
****************************
「伊助、いるかい?」
葉月さんに連れたれて来たのは、1回の座敷とは反対の、まだ行ったことのない廊下だった。
大きな部屋がある事が障子の大きさでわかる。
その大きな部屋の一つの前で、葉月さんは止まり、中に呼びかけた。
「おう。葉月か。いるぞ」
「入るぞ」
葉月さんは障子を着物が通る幅まで開ける。
そうすると、中まで見えて、その中には伊助さんが机で何かを書いていた。
「どうした…楓もいるのか。どうしたんだ?」
伊助さんは持っていた筆を静かに置き、こちらを見た。
「ちょっと今済はんのことでな────」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
75 / 92