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4きっかけ
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「え────?」
目の前を行き交う人々は皆着物を纏い、男は髷を。女は髪を上に結っている。
どこか……古めかしい……
というより……むしろ俺の方がこの場にしたら『異質物』のような────
「ど……どういうことだ……?」
思わず後ずさる……と、
「ぅ、わっ」
木の幹に躓いたのか、ぐらりと後ろに身体が傾く。
ドサッ バキバキッ
大きな音がらたち、数人がどよめきこちらを向いた。
『おや?何の音だい?』
『タヌキか何かか?』
『母様、怖いよ』
『どれ、私がみてこよう……』
1人の男が茂みを掻き分けてこちらに寄ってくる。
やばいっ……
ダッ
「む!?人か……!?」
俺は急いで立ち上がり、走り出した。
なんか、見つかったらやばい気がしたからだ。
後ろから『待て!!』という声とともに数人の足音が聞こえる。
俺は必死に走った。
「はぁ、はぁ……もう追ってこない……?」
無我夢中で走ってきたため、ここがどこだか全く分からない。
夕方を過ぎて薄暗いとはいえ、流石に目立つだろうと思い、細い路地に入った。
膝に手をつき、肩で息をする。
酸素も足りない脳では考えがまとまらない。
「はぁ……はぁ……すぅ……はぁ────」
一度、大きく深呼吸し、気持ちを落ち着けた。
「どういうことだ……?」
走りながら分かったのは、平屋の平淡な家ばかりが真っ直ぐに並んでいて、道も一直線。
曲がるところもほぼ直角。
それどころか、道もコンクリートではなく、砂や砂利が混じっていた。
ゆっくりと路地から顔を出してみると、見えるのはやはりそんな家ばかり。
俺の知っている現代の建物は無い。
それに、疎らに歩く人々は皆、さっきの祭りで見たような格好で、洋服なんて誰もいない。
ここは……どこだ……?
舞台のセットや、映画村よりずっとずっとリアルで俺は路地裏で息を飲んでいた。
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