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16着付け
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「最初の簡単な着付けはここまで。次は紐で結ぶから」
白くて細長い紐を取り出すと、卯月さんは俺の背後に回った。
「こればっかしは、手前からやると分かんなくてね。」
「は、はひっ……!」
背中に、卯月さんがピッタリとくっついて腕を脇の下から通す。
なんか緊張する────……
「まずは前から後ろに持ってくる。これは帯を結ぶ位置になるから臍の下あたりかな」
1度後ろに持ってった紐を交差して、また前で結ぶ。
器用に結ばれてく手元を見ながら、耳元で囁かれる説明に耐えられそうにない……。
ほんと……いい声してる……
なんだか、耳の奥がゾワゾワする感じでくすぐったかった。
「そしたら、結んだ方向と、逆方向に持ってく。それで、巻かれてる紐に絡めて終わり。」
ネジネジと三四回巻かれてる紐に巻き付けて、紐は定まった。
卯月さんはようやく後ろから離れて、畳に置いてあった楓模様の長い羽織を着せてくれる。
「次の段階は長着。これも襦袢と一緒で、右が下。真横まで持ってって。この時、ちゃんと襦袢の袖通しといて。」
卯月さんは左側もピッチリと真横にくっつけ、俺はその端を持った。
「首元苦しくない?」
「あ、ちょっと」
そう言うと、卯月さんは少し緩めてくれた。
「首元だけど、しっかり着てから緩めた方がいいから。」
色々な、アドバイスを付け足しながら、なんとか全て着終わった。
お……お腹苦しい……
「へぇ。似合うね」
着付けを終えた卯月さんはが、少し離れて、俺全体を見る。
「ほ、ホントですか?」
「楓は細いからね、綺麗だよ」
さり気なく褒められて、てへへと頬をかいた。
「ほら、鏡で見てご覧よ」
姿見の前に立たされると、着物を着た自分が映る。
わ……
「ほら、よく似合ってるだろ」
鏡越しに、笑う卯月さんが見えた。
その笑顔にホッとしながら後ろを振り返った。
「ありがとうございます」
俺の感謝の言葉に気を良くしたのか、満足気に頷いた。
こんな簡単な着物でも結構やる事あるのか……。
でも、卯月さんの方が大変だよね。
だって花魁だし────────
あ────────────
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