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27裏方
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「『夜見世』の時は裏方は何の仕事をしてるの?」
「じゃあ、見世が開く時から説明する。大尽が来たら部屋へ通すってのがまず一つ目の仕事。花魁の客以外は全員1階のお座敷。」
あ……勝手に行くわけじゃないもんね。
案内役までやるのか……。
「花魁の客は別館。『花の鳥』っていう、東の方にある館。」
『花の鳥』……。別館とか、やっぱり花魁になるとすごい────。
「で、一階のお座敷が埋まったら、今度は西の方にある『風の月』に案内してもらう。これが大体のことかな。」
あっ、そうか、これだけすごい見世なら一階だけじゃ足りないよね。すごい。
「もしかしたら、今日さっそく案内役してもらうかも」
「わ、わかった!!」
「後は、宴に出す酒や料理を作る。調理を頼まれてるのは俺と邦之。」
「え、2人だけ?」
料理は時間もかかるし、2人だと結構キツいんじゃ……?
「元々は邦之が1人でやってたんだけど、俺が入って2人になった。これ以上人が多過ぎると、かえって邪魔になるし、ここの料理の味は元々俺らの味だから」
そっか、2人のコンビネーションの見せ所……的な?
実際、この時代調味料とか本当に少ないし、別の人が作るってなったら毎日味が変わりそう……。
誤魔化すことも出来ないし……。
「楓とかには注文の伝達と料理の運搬があるから」
「注文被らないの……?」
こう、一気にバーッて注文されたりとかしないのだろうか……。
「そういう時は予め時間がかかる事を伝えてもらうんだ。」
「大尽は怒らない?」
こう、『いつまで待たせるんだー!!』とか『早くしろー!!』とか、現代なら結構耳にするんだけど……。
「いいや。大尽達はここの見世の味が分かってる。その上で遅れることをとやかくいう大尽はいない。」
若虎はゆっくり顔を横に振った。
やっぱり、大尽は皆上客ばかりだから、そういうことが言えるのか────。
暗黙の了解とかありそう────────。
俺も、しっかりルールを覚えなくては、ここで暮らすのは容易ではない。
「次は掃除について。大体、起きて、朝すぐと、見世が始まる前には必ず済ませておく。
絶対やらなくてはいけないのは
門から玄関までの道・玄関・お座敷・廊下・別館」
わっ、やる所沢山ある!!
「これは裏方を分けないと絶対終わらない。俺らの持ち場が今まで足りてなかったんだけど、そこに楓に入ってもらう」
こんなに大きい見世なら、裏方も沢山いる……訳ではないらしい。
今は8人で、それぞれの仕事が振られているらしい。
「他にもやる事はあるけど、大まかにはこれぐらい。」
『案内』『料理』『掃除』どれも簡単そうに見えて、多分きっと大変な仕事ばかりだと思う。
そんな仕事が俺に務まるのか……。
落ち込みそうになる気分を上げて、『頑張ろう』
という意志だけは高まった。
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