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28裏方
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「まず、楓には邦之と一緒に見世の掃除をしてもらう。」
最初の仕事は掃除。きっと珠蘭屋の事だから、埃一つ落としては駄目なんだ!!
なんて、変なプレッシャーを自分にかけた。
というか……邦之とかぁ……。
俺は、隣で野菜を切っている邦之を見た。
「やる場所は邦之に聞いて」
そう言って若虎は『つかいがあるから』と出かけてしまった。
俺は邦之の近くに行ってじっと見た。
その視線にチラリと横目で俺を見て、
「……こっち片すから待ってて」
「うん」
邦之は手元を見たまま呟いた。
江戸時代だと、やっぱり炊飯器なんてないし、薪で火を炊いて、お釜を使う。
フライパンだってないし、ほぼ全て鍋でやるっぽい。
俺は邦之の手元が気になって、邦之が動く度、手元が見えるところに動いたりした。
「……楓……さっきから何?急かしてる?」
不意に顔を上げた邦之の目は不審げに俺を見ていた。
「いや、どんな感じでやるのかな~って、気になって。邪魔だった……?」
「まぁ、視界範囲でウロチョロされると……気になる」
きっぱり言われはしないものの、まぁ……さり気なく邪魔だと……。
「ほら、もう終わったから掃除行くよ」
適当に包丁やまな板を洗って、水場から出た邦之に付いていく。
******************
「最初の掃除はここ。この廊下一辺から始める。」
辿りついたのは一階の廊下。縁側があって、昨日の庭も見える。
「天井の埃を叩いて、それを箒ではいて最後に水拭き。道具はあっちの物置。俺は別の廊下やってくるから、よろしく」
ひとしきり説明をぱぱっとして、邦之はスタスタと廊下の過度を曲がっていった。
「よしっ!!」
着物の袖を紐でそれっぽくたくしあげる。気合いは充分だ!!
えっと、あっちに道具があるんだよね。
邦之が教えてくれた物置へいき、物置の戸を開けると────
「えっ、うわわっ!!」
ガランっガランっカラ…………
「いったぁ〜……何なんだよこの物置……整頓ぐらいしろよ……!!」
突然倒れてきた柄の長い箒や降ってきたバケツ。その他もろもろが俺にぶつかり、床に転がっている。
ぶつけた手足が微妙にジンジンしている。
痣にならないといいけど。
俺は必要な物だけを取り出して、落ちてきた分だけは、しっかり整理して物置に戻した。
まず最初に天井にはたきをかけて……
実行しようと、はたきを持った手をあげる……
珠蘭屋は天井が少し低い……。
廊下も少し低いはず…………。
背伸びをしてみる……。
ジャンプしてみる……。
結果──────届かない!!!!!!!!!
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