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32初めての見世
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俺は案内役を一旦外れ、若虎がいる水場へ行った。
「若虎」
「んぉ?どうした」
まな板の上の野菜を切っていた若虎が、俺の声に気づき、こっちに視線を移した。
「今二番目に入った……ぁー…あ、今済様!今日の料理は薄味にして欲しいって」
「おう。了解」
こういうことにすぐ対応出来るって凄いよね。
「なんか胃が悪いらしくて……。」
「へぇ。お前さっそく大尽と会話出来てんだ」
若虎はちょっと微笑んで、感心したように俺を見た。
「どうせ緊張でガチガチだったんだろ?」
「く、邦之〜!!そういうこと言うなよ……」
大当たりだから尚更傷つく……。トホホ……。
「そうだぞ邦之!!楓だって頑張ってんだから」
若虎はちゃんとフォローしてくれる。
ほんとにイイヤツだよな。
「あ、楓、こっち来て」
「こらぁ邦之!!俺を無視すんな!!」
適当に会話を切った邦之に、若虎はぷんスカ怒る。
俺は呼ばれたままに、邦之の隣に行った。
「これ、味見して」
味噌汁を作っていたらしい邦之は、おたまで少量すくったのを小皿に載せた。
俺はそれを受け取り、コクん、と飲んだ。
「!!……美味しい……!!」
朝に飲んだ若虎の味噌汁とは、また別の美味しさが出ている。
味噌汁を飲んだことにより、俺はホッとして緊張が完全に解れるのを感じた。
「そう。俺も飲むかな」
そう言って、邦之は俺から皿を受け取ると、これまた少量よそい、皿に口をつけて飲んだ。
「っ!!!?」
「ん、いいや」
ちょっ、ちょちょ待て待て待て待て!!!!!!!!!
今邦之が飲んだところって、俺が口つけたとこだよな!?
これじゃぁまるで関節キスしたみたいじゃ──
「っっ、ぅ……」
いやまて、相手は男だ。邦之だ。同性ならノーカンだから!!
「?楓、なに赤くなってんの」
「え、嘘」
俺はビタンっと両手で頬を包んだ。
「くーにーゆーきー!!!!!!!!」
「は?」
俺らの後ろで、若虎が炎のオーラを纏いながら、邦之を、忌々しく呼んだ。
「てめぇなんで楓が口つけたところから飲みやがる!!無意識でも許さねぇ!!」
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