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56憧れの人
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「うっ……」
月灯りに照らされて、大尽の顔が良く見える。
本気で心配してくれているようで、眉根が寄っている。
安心したら、なんか……
「お、ちょ、泣くな!!」
大尽はワタワタと慌てている。どうしよ、困らせちゃった。
「ご、めんなさ……。ごめんなさ、い……────」
大尽の身体が、ピッタリくっついて、力強く抱き締められる。
「取り敢えず落ち着け。な?」
「ご、ごめんなさっ……」
「もういいから謝んな」
大尽のあの、優しい大きい手が頭を撫でる。
「落ち着いて、話せるか……?」
幾度も背中をさすってくれた大尽に、優しい声音で話しかけられたら、頷かずにはいられなかった。
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「狭間の旦那様には、ここに来た時にさっきみたいな事されて……それが、昨日もあったりして……苦手意識というか……」
「そうか……。狭間の奴がすまねぇ。この通りだ。」
えっ?えっ!?
何をするかと思えば、大尽は地面に両手を着いて所謂『土下座』をした。
そ、そんな!?なんで……
「やめてください旦那様!!そのようなことっ……」
「いいや。部下の失態は上司が処理する。それが、道理。常世の理。」
頑として頭をあげようとしない大尽に、俺はどうしたらいいか分からなかった。
「もう充分です!!頭をあげてください!!」
「……すまねぇ……」
必死になる俺に、なんとか顔を上げてくれた大尽にホッとして、やっと表情筋が和らいできた。
「あの、狭間の旦那様とは同じお仕事で……?」
「あ?お前俺を知らなかったのか?」
ものすごく驚いた顔になった大尽。え?逆にこの人ってみんなが知ってるような人なの!?
ど、どういう……
「俺は、新撰組副長、土方歳三だ。」
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