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久亀に促されるままに、またリビングに通される。
「で、お医者さん、なんだって?」
久亀は気になって仕方ないように問いかけるので、領収書をバックから出しておく。
「なんともねーって。石頭だから大丈夫って言われた」
まだ、営業時間なのに大丈夫なのかとちらちらカウンタのある方を眺めていると、ふんわりと香る紅茶のいいにおいがする。
「よかった。今日はお客さん、もうこないだろうから、気にしなくていいからね」
にっこり笑いながら、綺麗なティーカップを俺の目の前に差し出す。
パティシエの格好で出されると、昨日にはない緊張感がある。神様降臨ってやつだし。
「あいつらこの店にこれないように、襲撃してやろうか?」
「君は高校生でしょ。そんな真似したらいけないよ」
そういや、この人に俺は名乗ってなかったっけ。
手にした領収書を差し出し、
「名前、オレは、ウラシマ ウノスケって言うっす。ウノとかウーノとかダチには呼ばれてるけど」
「ウノスケ君か。君らしいカッコイイ名前だね。ウノスケ君っで呼ぼうか」
ガラス製のティーポットの中で、お茶の葉がふよふよし始めたのを狙って、久亀はオレの前のカップへとその液体をそそぐ。
「ウノスケ君とか言われるの、照れる」
「照れる顔はレアだろうから、僕はそう呼ぶね。今日はウノスケ君のために、木苺とラズベリーのタルトを作ったんだけど、好きかな?」
まるで、魔法のように冷蔵庫から赤い綺麗なベリーの上に綺麗なキラキラの飴細工でできた赤い花飾りが乗ったタルトが更に乗せられてくる。
なんだ、この、美しいベリーのタルトは。
お見合いか。一目惚れか。
「パフェの材料と一緒なんだけど、ウノスケ君、こういうの好き?」
「あ、ああ。スゴイ!久亀さん。すごいよ!オレ、このタルトさんと添い遂げたい!!」
俺の感想に久亀は、ちょっと驚いたような顔をしたが、嬉しそうに笑みを浮かべてオレの手にフォークを手渡す。
「是非、添い遂げてあげて。ウノスケ君って、スイーツ大好きって顔してくれるから、凄く嬉しいな」
オレは目の前にの紅茶に手を伸ばして、軽く口に含んで飲み込み、タルトにフォークを突き刺した。
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