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大人と子供
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大人でありたい。
いつでも彼に見せる面は、余裕があって落ち着きのある、大人の男でありたい。
しかしその大人の仮面は、彼に惹かれれば惹かれるほど、脆くも崩れ去っていくような気がした。
弟と同じくらいの少年に弟の姿を重ねて、兄のように接しようと思えば思うほど燃え上がる背徳感に、何度自己嫌悪したことだろう。
まだ幼い彼の、大人への憧憬のような視線を感じれば感じるほど、自分は大人でなければならないと思った。
そんな彼が取った、予想外の行動。
無理に押し付けられた唇と、当たる前歯。
初々しさを感じるお世辞にも上手とは言えないキスは、それでも2人の間を熱くさせる。
驚きのあまり閉じることのできなかった瞳が、行為の間の彼の全てを映す。
固く閉じられた瞳を彩る長いまつ毛が、ひんやりとした夜風に撫でられてもなお蒸気した頬が、羞恥心を告げる。
日はくれているとはいえここは公園で、私たちが今いるこの場所も、日中は子供たちが純粋に駆け回っているのかもしれない。
大人のようでいて幼さを感じる春陽の行動の真意を掴めずにいる。
「え……えと、そういうことです!」
「ど、どういうことですか?」
我に返った春陽が取り繕うように言った言葉が、余計に私を混乱させる。
この子は私が察した前提で話をしているのだろうか。私が”大人”だから。
それでは困った。
幼い口付けの余韻に狂わされた私の口から、答えを急かすような台詞が出てしまったのだから。
どうしようか。
撤回するか、そのまま流してしまうか。
でも……
その時、なにか覚悟を決めたような顔で、春陽が口を開く。
「僕は灰吏さんが好きです。大好きです。さっきずっとウリエラだけが大事だったって聞いて嫉妬して、今は僕が1番だって言ってくれて凄く嬉しくて。灰吏さんが真面目に話してくれてるのに、そんなことで舞い上がってた僕ですがなにか文句ありますか!?」
今日2度目の驚きもまた、春陽によってもたらされた。大きな衝撃とともに。
「いや、文句はないのですが……それは本気にしていいんですよね?」
「う……え……?本気にしてって何をですか?」
「なにをって。好き……ってところですが……」
「そ……うです。本気にしてください。こんなこと…冗談で言えるほど僕は器用じゃないので……」
あぁ、熱い
熱くて、熱くて、理性なんて考える余裕もない。
愛だの恋だの、子供らしい恋愛も、いいかもしれない。
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