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事件
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「はーい、脱出おめでとうございまーす!なんてね」
出た先には何故かまだ、暗い部屋が続いている。
ただ今までの景色と異なるのは、そこに大きなスクリーンがあること。
そしてそこに、神崎のクソみたいな笑顔が映っていることだ。
一緒にこの部屋の中に入ってきたミカを振り返ってみる。
目が合って自分ではないと首を横に振るアイツも、このことは知らされてなかったらしい。
神崎の独断か。
「皆さんここが天界だってこと忘れてませんでした?人間界もそうですけど、天界では特に、俺はなんでも見えるし聞こえるんですよね」
それなのにずっと黙ってたと。相変わらず性格の悪いことで。
「お前!桜珂はどこや!」
駄犬は吠える。
そういえば、同じ場所から出ていったはずの桜珂の姿が見えない。
「桂樹のお嬢さんは今日のパーティに参加してもらわなきゃいけないので、ちゃーんとこちらで保護してますよ」
「そんなん、信じられるわけないやろ」
「うーん……まぁおいおい分かります。あ、冬夜さんは元気ですか?」
「は?」
「そうそう、ウリエラくん、すっごい可愛いですね。ちょーっと触っただけであんなに反応してくれちゃって」
は?
普通なら変な意味でとることはありえないと思う。後ろから脅かしたとか、もしくは冗談、とか。
でもそれほどまでに神崎の信用はないし、大概変態だと思ってる。
「っはは、変な意味で想像したでしょう?そこにはノーコメントですよ。でも今からの映像、ちゃんと目をそらさずに見てくださいね」
嫌な予感がする。
「あ、ミカも俺を裏切ったお仕置き。そこにしばらくいるといいよ」
やっぱり神崎の独断だったわけだ。
そこで画面が切り替わり、映るのは何か人の多い……
「パーティの会場みたいやな」
《続きまして、天界を代表して神様より、お祝いのお言葉を賜ります》
会場の正面、一段高くなっている所に見えた神崎の顔。
さっきまでの気味の悪いにやけ顔から、初めて会った時のような真面目な好青年の表情。
その後に控えているのは、見間違うことはない、俺の最愛の天使だった。
カメラはズームアップし、しかしそのピントは神崎というよりウリエラに合っている。
そこで俺は、ある異変に気づいた。
ウリエラの顔が赤い。
緊張だと言ってしまうには様子もおかしい。
_____今からの映像、ちゃんと目をそらさずに見てくださいね
これか?
このウリエラの様子がおかしいのがなにか関係あるのか?
神崎の挨拶が終わりを告げようとする時、事件は起きた。
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