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話したくない過去
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「ウリちゃんをなんだと思ってるのよ」
ご立腹の枝流を引きずるようにして控え室に戻る。
あわよくばパーティ会場で天使くんを攫ってこようと思ったんだけど、やっぱりあの変態ジジイはそう簡単にはいかないらしい。
「アイツはね、天使とか、人間とか、悪魔とか。つまり自分以外はなんとも思ってないよ」
「ねぇ、秋人くん。何があったの?それってあの頃秋人くんが荒んでたのとなにか関係があるの?」
「関係は……そうだね、あるよ。でも枝流に教える義理もないし、必要も無い」
「なによ、それ。まるで……まるでなっちゃんと会う前に戻ったみたいじゃない」
夏月と会う前の俺、ね。
そうかもしれない。
あの時は自分の存在を見つけるので精一杯だったから。
いつも1人で、暴れてた。
自分の力を誇示して、それで自分はここにいるんだって感じてた。
神にずたずたにされた心を、そうでもしなければ保ってられなかった。
「多分、いずれわかると思う。俺の口からは、できれば言いたくないかな」
思い出したくもない。
「あっそ。まぁ良いわ。冬夜達の前で、話してくれたら許してあげるわよ」
は?
「俺そんな約束をした覚えないんだけど」
「あぁ?男ならそれくらいの覚悟決めろよな。タマ、ついてんだろ?」
「あの、枝流さん?痛いんだけど……」
「そんなウジウジしてんならいっそ取ってやろうかと思ってよ」
人の股ぐらに手を突っ込み、どこから湧いてくるんだって力を込めてくる。
キレた枝流は怖い。
改めて実感する。
「分かった!分かったから。話すよ。話すからやめて!」
「……ふぅ。てっきりなっちゃんもいないことだしもういらないのかと思って」
いらないのかと思って、じゃねぇよ。このオカマゴリラ
「子供の頃、何回か親父に連れられて天界に来たことがあったんだよ」
______
そう、あれはもっとまだ若い頃。冬夜達よりもう少し幼い頃だったかな。
次期当主ってことで親父と一緒にここに来てた。
あの頃は神も今みたいな姿じゃなくて、もっと歳をとってたっていうか。
じいちゃんみたいな感覚で俺も懐いてたんだよね。
それがある日突然監禁されてさ。
俺の自我とか、プライドとか、そのへんを全部崩した上で犯された。
父さんも助けてくれないし、なんとか……っていうかその時に天使のおっさんに助けてもらったんだけどね。
______
「でまぁ、その後お前と出会ったってわけだよ、枝流」
ざっくりと、適当に掻い摘んで話す。
これ以上深くは、本当に聞かれたくなかった。
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