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目覚め
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かけておいたケータイのアラームが、僕の意識を浮上させる。
ひとまずアラームを止め、陽の光を求めて立ち上がろうとした 。
が、その目的が達成されることはなかった。
頭が痛い。
二日酔いのような頭痛に、思わず動きが止まる。
そのとき、ふと鼻をつく異臭。
鉄分の多く混じったような、臭い。
寝起きの霞んだ瞳にも、鮮明に映るあか。
部屋の中に放置された肉塊は、もともと人だったモノたち。暖かく体内を駆け巡っていた液体が、すべて抜き取られたかのような冷たさ。男も女も関係なく、ただただ 、そこにあるだけ。
ほんの数年前から、ある種日常になりつつある光景だった。
僕は慣れた手つきでケータイを操作する。
「もしもし、灰吏(かいり)さん?僕、春陽(ひなた)です。アイツのせいでまた部屋を’’汚して’’しまって…。こんな朝早くに申し訳ないんですけど、片付けてもらっていいですか。あと、できれば朝食もほしいかな…なんて。」
アイツとは…そう、僕と身体を共有するもうひとりの人格。いや、人格というには語弊がある。だって彼は僕とは違うひとりの人間なのだから。
彼はヴァンパイア。僕の半身。
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