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朝食
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今は昼、つまり僕の時間。身体は僕の元にある。だがしかし、太陽が隠れ、月が煌々と輝くころ、僕の身体はアイツ、冬夜(とうや)のものになる。
身体の主導権を握られている間は、お互い大抵寝ている。もちろん、起こすこともできるけれど。
「おい、冬夜」
’’……んだよー。ひなぁー。俺ぁ眠ぃんだけどー’’
「あれほど部屋を汚すなって言っただろ。片付けるの僕だぞ。おい、聞いて……」
ピンポーン
チャイムが鳴った。
きっと灰吏さんだ。
僕は急いでドアを開ける。そこには、くすんだ金の髪を後ろで束ねた美丈夫が立っていた。
「春陽、朝食を持ってきましたよ。私が片付けておくので、朝食を食べていてください。」
そう言って僕は違う部屋に通された。
いつも灰吏は片付けるところを僕に見せない。だから一体どうやってあの死体を運んでいるかもわからない。ただいつもいつも片付けに来てくれる。それだけ。
灰吏は自分の素性についても一切明かさない。彼のことを知ってるのは、きっと父くらいのものだと思う。
少しくらい、教えてくれたっていいのに…。それとも、もっと知りたいと思う僕がおかしいのだろうか。
片付けが終わったのか、灰吏が顔を出した。ちょうどその時朝食を終えた僕は、ごちそうさまを言ってから、彼に相談を持ちかける。
「灰吏さん、最近冬夜の食事の量、多すぎませんか?出会った頃は毎日こんな量の血を吸ってなかったと思うんですけど…」
「そうですね…確かにあの頃よりは多いですが…そろそろ月蝕ですし、妥当な量ではないでしょうか。たしか月蝕は今日だったような気がしますが…。月蝕の夜は何が起こるかわかりませんので気をつけてください。」
そうか、月蝕。昔から月蝕の夜は魔が強くなるという。きっと冬夜も本能には抗えない。いや、抗わないな、アイツは、絶対。
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