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毒
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ワイン、美味しい。
あのヴァンパイアの根城に入ってはや数分。僕はソファーに座ってワインを飲んでいた。胸焼けがしそうなほど甘い台詞を平然と吐いてくるヴァンパイアに驚きながらも。
にしても、やはり地元の名士というべきか、とにかく広い家だった。今僕の座っているソファーも、とても座り心地がいい。そしてワインも美味しい。僕とアイツとが、まったく違う出会いだったら…と思うと、早速ほだされかかっている自分に気づく。
自己嫌悪に陥り、ワインをゴクリと飲み込む。さっきバーで飲んだ分に上乗せされ、もともと酒に強くない僕は、だんだんと、ふわふわとした気分になってきた。
「冬夜さ…______んっ」
自分でも、イマイチ何を言ったのかわからないまま、口唇を塞がれていた。
酒に侵された僕の脳みそは、まったくと言っていいほど機能しなかった。
あったかくて、気持ちいい。
天界にいた頃には感じえなかった快感
に、僕は抗う術を知らない。ただただ、初めての感覚に身を任せるほかなかった。
絡まっていた舌が解けると、それは徐々に下へと下がってくる。肌を温かいものがぬるぬると伝う感覚に下半身に熱が溜まっていく。
「っ……あぁ………ふぅぅ」
自分の口から漏れる声は、自分のものとは思えないほど甘ったるい響きを持っていた。
鎖骨に吸いつかれ、そこからピリリとした痺れが広がっていく。再び首筋を舐めあげられ、そして尖った’’何か’’が突き立てられた。
一気に貫かれ、鮮血がほとばしる。
今までの比ではないほどの電流が身体を流れ、僕は悦びの悲鳴をあげた。
そういえば、僕の最終手段、それはこの血。天使の血は、悪魔を殺す聖水。
普通のヴァンパイアなら、ほんの数滴で死に至る。
グズグズに熟れた思考の中で、牙がずるりと引き抜かれる喪失感と、また新たに穴が開く期待感がないまぜになっていた。
早く終われ。じゃないと、僕が……
そしてヴァンパイアの腕の中で、視界が真っ暗になっていった。
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