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発見
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なんだか嫌な予感がする。
そんな私の予感はいつも当たってしまう。きっとこの予感の先は春陽、いや冬夜だろう。月蝕の日は、ことさら危険。ヴァンパイアハンターたちがうろついている危険だってある。
心配になって彼らの部屋に向かった。
コンコン
「冬夜、入りますよ。」
返事がない。
ドアを開けても、その部屋からは物音が一切しなかった。彼らがいるであろうリビングを覗いた。
「ウリ……エラ………?」
そこには、冬夜と、弟が、いや弟だった人間が倒れていた。あの置いてきてしまった時から、気がかりではあったが…まさかこんな場面で再会するとは思ってもみなかった。
でも今は、そんな感傷に浸っている場合ではない。ウリエラの首の痕をみるに、きっと冬夜は吸ってしまったのだ。天使の血を。
幸いまだ息はある。
今朝春陽に届けた文献のなかに、気になる記述があった。
_______________________
天使の血は毒。それを中和するには、同族の血を摂取せねばならない。
_______________________
と。
堕天した私の血にどれほど効果があるかは分からない。でも、冬夜は、この人だけは助けなければならないと思った。
「冬夜、起きてください。冬夜!」
「ん…灰吏?なんか…俺………頭痛が……」
「早く俺の血を飲んでください。」
そう言って俺はもしもの時のために持っていたナイフで傷をつけた腕を差し出した。
「はぁ?何…言ってんだ………お前、絶対まず……」
「じゃあ飲んで生きるか、そのまま死ぬか、どっちか選びなさい。俺はもう、強制はしない。でも、お前が死んだら、春陽も死ぬということは忘れるな。」
そう言うと、しぶしぶ俺の血に口をつけた。
とても不味そうな顔をしながら。
それでも毒はだんだんと抜けていったようで、眉間に寄せられた皺は取れていった。
正直ほっとした。肉親が倒れている前で他人を助けるのはどうかという良心の呵責はあったが、血のつながりは、あの日私が一方的に断ち切った。今の家族は、この美しきヴァンパイア。
「冬夜、もういいです。離してください。私はこの子を連れて部屋に戻ります。」
そうして貧血で気を失ったウリエラを連れて、部屋を後にした。
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