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初めて
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僕は、冬夜が目覚めてから初めてと言っていいほどの安らかな寝起きを果たした。
いつもみたいな血臭はなくて、僕以外のいない部屋。そしてあの二日酔いのような激しい頭痛もない。本当に清々しい朝。
いつもと違うのは、なんだかだるいこと。身体に負担をかけたかのようなだるさが何をするにもじんわりと尾を引いてくる。
ただこんなにいい朝は久々だったから、報告がてら灰吏さんと朝食を摂ろうと彼の部屋へと歩く。
コンコン
ノックするが、誰も出ない。いつもなら彼はもうとっくに起きている時間。寝ていたら悪いと思いつつドアを開けようと手をかけた瞬間ドアが開き僕はバランスを崩しかけた 。
開いたドアの隙間を反射的に見上げると、憔悴仕切った様子の灰吏さんがいた。何かあったのか聞くと、中に通してくれた。
初めて入った灰吏の部屋は、殺風景だった。ほんの気持ちだけ生活に必要な物が置いてあるだけの部屋。
でも、その部屋のこれも事務的なベッドの上に一人の美少年が横たわっていた。その風貌は天使そのもの。
「灰吏さん。この子は僕が見てますから…僕の部屋で少し休んでください。灰吏さんが体壊したら、僕達何もできませんから…」
先ほどの様子から灰吏はほとんど寝ていないと思った僕は、交代を申し出た。
きっと疲れていたのだろう。灰吏も僕の申し入れを素直に受け入れた。
「ねぇ、冬夜。」
’’ん?’’
「あぁ、起きてたの。初めてじゃない?血を吸い尽くさなかったの。まだ生きてるでしょ。何かあった?」
’’んー。コイツは特別だからなぁ。俺の身体が持たなかったんだよ…。ひな、前に言ってただろ。天使の血は毒だって。’’
「嘘、じゃあこの子、本当に天使?まさか存在するとは…」
’’天使はいるぜ?ひなはもう見たことあるけどな。それに近いものを。’’
「え?それってどういう…」
その時、金色の睫毛がふるりと揺れた。その目にはうっすらと涙がにじんでいて、その金糸はより輝いて見えた。
何度か瞬きを繰り返した後、慌てて起きようとした。そのままふらりと倒れ込んだが。
その動きで僕はようやく我に返り、灰吏を呼びに部屋を出た。
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