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拒絶-灰吏
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あの後、静まり返ってしまった玄関から部屋に戻った。もう1度眠りにつこうとしたけれど、まったく寝付けなかった。
「冬夜。おい冬夜ってば!起きろって!!」
’’ん……なに?’’
「父さんが帰ってきた。」
’’あ?春陽寝ぼけてるんじゃ?絶対帰ってこないって、アイツ’’
「寝ぼけてるのはお前だろ。さっきので起きなかったとか、ホント神経図太いよな。」
’’きゃー。春陽くんこわーい。そんなことでいちいち起きてたら俺の身が持たないわ!’’
違う。そんなことを言いたいんじゃない。
「ウリエラのこと、父さん知ってた。」
’’ふーん。まあ俺には関係ないし。それだけならもう寝るわ。’’
「ふーん。ってなんだよ!ウリエラが心配じゃないの!?」
その問に答える声はなくて、もう寝てしまったのだと分かった僕は、誰もいない部屋で1人憤っていた。
▼
昼過ぎ、億劫だったけれど部屋を出た。
リビングに行ってみると、そこにウリエラの姿はなくて。代わりと言ってはなんだが、最近彼がよくいる場所には灰吏がいた。
「おはようございます、春陽。まさか秋人さんが帰ってこられるとは…しかもあんな時間に。さすがの私でも驚きました。」
いつも寡黙な彼が、饒舌になっている。
「おはようございます。あの……灰吏さ…」
「あっ、そういえばもう昼でしたね。何か軽く作りますね。」
僕が言い淀んでいると、灰吏は昼食を作りに部屋を出ていってしまった。まるで聞かれたくないと僕を拒絶するように。
いつものように、灰吏が作るご飯は美味しかった。けれどなんだか味気なく感じるのは、ウリエラがいないからだろうか。彼が僕の生活の一欠片となっていることに気づく。
出てこないのを心配して、彼の部屋へと向かう 。
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