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拒絶-ウリエラ
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朝のあれから二度寝をしようにもまったく寝付けなくて、電子端末をいじる。
戦天使の連絡ツールだったそれは、下界ではなんの役割も果たさない。代わりに春陽から御門が契約している端末をもらっていた。
下界には電子書籍というツールがあるらしい。なんといってもそれは紙の本を所有せずともいつでも本が読めるという魅力がある。それをやってみたくて、電子端末をいじってみた。
最初のころは戸惑ったが、今ではなんとか慣れてきた。本を読むのは単純に楽しい。内容ももちろん面白いのだけれど、知識が増えていくのが好きだ。
そんなこんなで読書に没頭しているうちに、昼近くになっていた。
コンコン
ドアがノックされた。
びっくりした僕はなにも疚しいことはないのに、端末の電源まで切って、伏せる。
突然の来訪者は春陽で、昼過ぎまで出てこない僕を心配してくれたらしい。
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「ごめんね。朝から騒がしくて…」
「別に…ってあれ、じゃなくてあの人本当に春陽のお父さんなの?」
「はは。若いからね、見た目は。そうだよ。僕の父さん。そういえばウリエラ、今夜来いって言われてたけど…」
ん?僕が呼ばれていた?そんなの聞いてない。
「そう…だっけ。行ったほうが……いいよね?」
そう。誘われたのなら行くべきだ。それが本来予期しない理由で、この家に置かれているのだとしても。
頭では分かっている。でも、あの人の所へ行くのは気が引けた。これといった理由はないけれど、本能が危険を告げている。
「ウリエラが行きたくないなら行かなくてもいい。って言いたいけど……。」
多分春陽は、お父さんとの間に何かある。きっとまだそれは、僕が触れていい問題じゃない。
僕は’’他人’’だから。
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