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安息
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あの時冬夜が来てくれて、内心すごくホッとした。それと同時に、彼の体温に触れたくて、縋りつくように抱きついてしまった。
暖かさに緩んだ涙腺と、溢れる気持ちは止まらなくて、彼に甘えてしまう。
早々にこんな部屋を出たいけど、腰が抜けていて、立ち上がれない。
と、突然襲う浮遊感。
冬夜が抱き上げてくれたのだと気づくには少々時間がかかった。器用にドアを開け、部屋を出ていく。
コツコツと廊下を歩く冬夜の足音は、規則的で、それに合わせて僕の心音も落ち着いていく。
かと思いきや、心臓は通常より早い鼓動を刻むばかりで。
「もっもういい!降ろして!!!」
「いいけど…貧血じゃねーの?」
「大丈夫だから!はっ、早くしてよ!」
ため息をつきながら冬夜が下ろしてくれる。僕は両足を地面について、歩きだそうとする。でも、思うようにまっすぐ進めなくて、視界が揺れていた。
「ほら、言わんこっちゃない。」
そう言って腰にまわされる腕。
グッと抱き寄せられて身体はもうふらふらしていないはずなのに、視界はグルグル回る。
顔が熱くなって、ふわふわとした気分になって、自分に今何が起こっているのか分からない。
「ん?大丈夫か?顔、紅いけど。」
顔を覗き込んでくる冬夜を直視できない。
本当に自分でも訳が分からなくて、何も言えない。
そうしていると具合が悪いと思ったのか、また冬夜に抱き抱えられた。今度はもう抵抗なんてできなくて、大人しく連れられていった。
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