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嘘
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部屋を出てから、ウリエラの様子がとにかくおかしかった。
血が足りなくてフラフラしてるくせに、大丈夫だと言いはってみたり、顔を覗き込んだら目を逸らされたり…。
危なっかしくて、見ていられない。
もう1度抱き抱えて、俺の部屋に強制連行する。
中に入ると、俺は後ろ手で鍵を閉めた。
誰かさんが入ってこないように。まあ実際アイツが本気を出したら、鍵なんて意味をなさないと思うが、念のために。
ウリエラをベッドに降ろすと、彼の顔に少しできる翳。本人も無意識だっただろうその反応に、少し心が痛む。
俺もウリエラに背を向けてベッドに横になった。
「安心しろ、今日は何もしねぇよ。」
「え……?」
案の定なんのことだかサッパリ分かっていない表情をする目の前の天使。
「そんな憔悴しきってる顔した奴の血、吸う趣味ないから。俺はもっとグズグズに甘やかして、快感にドロドロになった血の方が好み。」
「な……ッ変態!」
表情は見えない。
でも、自分がされたことを思い出しながら、真っ赤な顔をして今の一言を放ったのは、容易に想像がついた。
「っはは。…という訳で俺はもう寝るから。お前も早く寝ろよ。……ふぁ……おやすみ、ウリエラ。」
「おや…すみ…冬夜…」
本当はまだ全然眠たくはない。でもここで起きていたら、ウリエラは変な気を使う気がして。
静寂が訪れてしばらくたった頃、不意に背中に熱を感じた。
「とうや……さっきは…ありがとう」
こんな可愛い言葉を聞けるなら、嘘をつくのも悪くない。そう思った。
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