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ぬくもり
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朝、僕の腕の中にいる1人の少年。朝日を浴びてキラキラと輝く金糸は、この世のものではないであろう美しさ。
《そっか、冬夜、心配じゃないとか言いながらちゃんと行ったんだ。》
すやすやと気持ちよさそうに眠る天使を起こさないように、僕はベッドを抜け出す。
今は春、温かいと言っても朝は少し肌寒い。
庭に出ると、そこは花の盛だった。
のんびりと花を眺めるように歩いていると、自然と身体も暖まってくる。
途中に置いてあるベンチに腰を下ろし、ぼんやりと空を眺めた。
ひんやりとした空気が肌を撫で、寝起きのモヤのかかったような意識を鮮明にしていく。
父さん、いつまでいるんだろうなぁ。
そんな呑気なことを考えながら早朝の孤独を楽しむ。最近はウリエラとか灰吏とか、誰かといる時間が長くて、僕が一人になることなんてほとんど無かった。
ザァァ______
少し強く吹いた風が枝葉を揺らす。
頭が冷えて、僕の意識もスッキリとまとまった。
さて、中に戻るか。
立ち上がりかけた時、聞こえる靴音。
「あ、春陽、ここにいたんですね。おはようございます。」
「灰吏さん、おはようございます。」
なんとなく、気まずい。
昨日は大丈夫だったのか、とか色々聞きたいことはあるけれど、夜に起こったことは全部僕は部外者な気がして、何も言い出せない。
「朝食、軽いものですが出来てますよ。ここは冷えるので、中に戻りませんか?」
結局いつも、この灰吏の優しさに甘えてしまう。昨日冬夜が頑張ったんだから、僕も頑張らなきゃなぁとは思うのだけれど。
この甘さが僕には心地よかった。
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