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拒絶-春陽
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「春陽、おはようー」
昨日より少し早く、父さんが起きてきた。僕と一緒にリビングにいたウリエラが身構えたのが分かる。
「大丈夫だよ、そんな固くならなくても。俺ももう歳だねぇ、天使の血は体に堪えるよ。美味しいんだけどね。
そうそう、俺、明日帰ることにしたから。お父さんがいなくて春陽くん寂しくない?」
芝居がかった口調で、信用ならない言葉を平然と吐く父さんは、もう帰るらしい。
「もう、帰るんですね。寂しくないことはないですけど、仕事溜まってるんでしょう?柏木さん困ってますよね、今頃。」
「はは…俺はいい息子を持ったね。ありがとう春陽、心の準備が出来たよ…。」
「…頑張ってくださいね。父さんの下で何人の人が動いてると思ってるんですか。」
「ホントに手厳しいな。そのうち春陽にも譲っていくからね。そうだった、天原くんは?」
「…灰吏さんには僕から伝えておきます。」
「そう?でもさ、俺の用事はそれだけじゃないんだよね。分かるだろ、春陽?」
父さんは、灰吏から血を吸うつもりなのだ。
さっき天使の血は辛いと言ったけど、堕天使なら話は違う。
この間のムズムズとした気持ちが再び燃え上がってきて、自分が自分じゃないような気分になる。
「わか…りません。分かりたくもありません。父さんこそ分かってないんです!灰吏さんがどれだけ苦しんでるか。」
思ったよりも低い声が出ていて、本当に自分じゃないみたいだった。
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