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拒絶-春陽 2
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「それって、春陽本気で言ってる?偽善なんかやめてさ、もっと正直になりなよ。」
偽善?
反発しようとしたが、それに返す言葉は見つからなかった。
それは何故か。
その通りだから。
父さんが言った通り、さっきの言葉は本心というにはあまりにも偽善的で、愚直だった。
灰吏がどれほど苦しんでるか、なんてこの場では僕はそんなに問題視していない。
ただ灰吏を取られたくない一心で口をついた体のいい子供じみたコトバ。
つくづく僕はまだわがままな子供で、灰吏に並べる程、大人じゃないんだと痛感させられる。
でも、父さんの言葉には不思議な力があって、僕は本心を言わざるを得なかった。
「…ないんです。…父さんに、灰吏さんを取られたくないんです!」
「ふぅん。でもさ、春陽は分かってるよね、天原くんは、誰のものか。なんでそんな気持ちになるのかな。」
気持ち…?僕のこの気持ちは、なに?
突然夕方の会話がフラッシュバックする。
まさか、そんなことは…だって……でも、
「好き…だから?」
口をついて出た言葉は、ずっと自らが否定していた言葉だった。顔が熱くて、視線をあげられない。
でも後ろでハッとウリエラが息を飲んだ音にも気づくほど僕の神経は鋭くなっていた。
「っふふ。やっと素直になったね。
あーあ、可愛い息子に免じて、天原くんは解放してあげようかな。仕方ないから俺は出てくるか…」
父さんはずっと前から知っていたかのような口調だった。
尋ねようとした時にはもう、部屋に姿は無かった。
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