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揺れる気持ち
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父さんから誘導尋問とも言えるレベルの質問で、導き出された僕の’’答え’’。
何度否定してみてもその気持ちは大きく膨れ上がっていくばかりで、どんどん僕を加速させていく。
そのせいで灰吏さんのことを、無意識の内に避けてしまっている。
のに、視線は彼を追っていて、彼の声が聞こえると、ピクリと反応してしまう。
でも、彼に思いを告げても、断られると思う。僕も彼も、男だから。そして断ったことの申し訳なさで、きっと彼は僕を避ける。
だから卑怯な僕は告白なんてできない。この距離が、遠くなるのが嫌だから。
ぐるぐる回る切ない気持ち。誰にも相談できなくて、抱え込んでしまう、僕の悪い癖。
それでもここ何年かは灰吏に話すことが出来てて、不思議と彼は解決してくれた。
けど今回は彼に言ってはいけない。
こんなに苦しい思いをするくらいなら、気づかない方が良かった。
まったくありがたくない置き土産を残していった父さんを恨む。
あの時、ポツリとこぼれた言葉が、彼の耳に入っていなくて良かった。
いや、実際にはわからないけれど。
彼の様子はいつも通りだったから聞こえてなかったのではないかという希望的観測。
そろそろ冬夜が起き出してくるから。
しばらくの間は現実から離れられる。
「冬夜、交代だよ…」
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