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月
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今日も月はのぼっていて、柔らかな光で草木を包んでいる。ぼんやりと空を眺めて、思う。
春陽は太陽。あったかくて、明るくて、キラキラと輝いている。それは皆を幸せにする陽の光。
冬夜は月。一見すると鋭くて冷たい。でも本当はすごく優しい、月光。
僕が下界に、この世界に来て、最初はヴァンパイアなんかに捕まって…不安で、怖くて、情けなくて仕方なかった。でも、この2人がずっと照らしてくれて、僕はこの世界を楽しんでいる。
月を見上げながら、こっちの方が好きかな…なんて思ってしまう僕は重症かもしれない。
突然背中に感じる熱は、僕よりも少し冷たくて、でも安心できる温度。回される腕に心臓が跳ねる。
「なぁ、血、吸っていい?」
耳元にかかる吐息がくすぐったくてゾクゾクする。
「え?でも、身体が…」
「ん、ちょっとなら大丈夫。」
昨晩の痕はまだ残っていて、冬夜の指は、そこを何度も往復する。指がかすめる度訪れる背徳感。
「んぁ!」
痕を消すように、全く同じ場所に穿たれる牙。だけど僕が抱く感情は全然違って。
「ふっ。あっまぁ。やっぱ俺、お前じゃないとダメみたい。」
今の言葉にときめく。
ちょっとだけ。と言った冬夜は、何度も何度も自分の証を刻み込むように、牙を埋める。
その度に僕は、彼のものなんだと思える気がして。
快楽で朦朧とした意識。もうちょっとで、なんだか飛べそう。
「冬夜ぁ、、、好き……」
彼の動きが一瞬止まった。
僕は意識を手放す。
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