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布団
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ん…
なんだか温かい?
「ウリ…エラ………?」
寝起きで少し掠れた声で問いかけても返事はない。霞む視界にぼんやりとうつるのは見慣れた金糸ではなく…茶色だった。
「やだぁ、冬夜、アタシの前で他の男の名前?んもうっ!やめてよね、怒っちゃうわよ!」
芝居がかったオネエ口調。
流石に広いベッドでも、長身の男が2人寝るには狭い。そんな中でも俺にピッタリとくっついて、ニヤニヤしている変態。
「なにやってんの、エル?」
「久しぶりね、冬夜。あなた、寝起きそうそうウリちゃんの名前が出るってホントどういう関係なのよ…。」
「久しぶり。別にお前には関係ないだろ。」
「まっ、今日ウリちゃんを助けてあげたのは誰だと思ってるのかしら!!」
しまった、というように口を抑えるけどもう遅い。俺の耳にはバッチリ、その言葉は届いていた。
「ウリエラに何かあったのか!?」
背筋を氷が伝うように、冷たい刺激が通る。自分が撒いてしまった種だからなのか、観念したように口を開く。
「今はもう大丈夫よ。でもあなたが心配してたこと、起こり始めてるわ。準備は早く済ませなさい。じゃないと…って冬夜、どこに行くのよ!」
《今はもう大丈夫よ。》その言葉に安心した。と同時に、身体は動いていた。
▽
「ウリエラ!」
飛び込んだ部屋の主はケロっとしていて、
血相を変えて飛び込んできた俺にびっくりしているようだった。
「と…冬夜、おはよう?」
とぼけたような声を出すウリエラに大股で詰め寄り、ぎゅっと抱きしめた。その体温を感じて漸く一息つく。
「俺さ、初めて自分のこの体質を恨んだ。」
「なんで?」
「いつもいつも、お前の傍に居れるわけじゃない。昼間は春陽、夜は俺。夕方は少しだけ融通が効くけど、それ以外は無理だから。たとえ昼間にお前がピンチになっても、俺がそれに対処できるのは夜になってから。」
ウリエラは黙って先を促す。
「今まではどうでも良かったけど、今回思った。好きな人が、辛い思いをしてる時に側に居れなくて、俺が気づいたときにはもう終わってるっていうのがどれほど辛いのか。」
「まぁ、どうしようもないんだけどな。」
ははっと笑って視線をあげると、嬉しいような悲しいような、不思議な表情を浮かべているウリエラと目が合った。
「好きな人…って」
「そう、お前だよ、ウリエラ。」
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