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好き-春陽
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「スキ…好き?へ、好きって、そういう?え、どういうこと?」
”スキ”
その一言に、頭がパンクしそうなほどぐるぐるしてる。意識して心の中で反芻する度に分からなくなっていって、処理しきれなかったその熱が、体のあちこち、特に顔、に伝わる。
その時頬に触れたヒンヤリとしたものが気持ちよくて、一瞬思考は冷める。が、それが冬夜の手だったことに気づくと、さっきとは比べ物にならない熱が、ものすごい速さで登っていく。
こんなとき、どうしたらいい?
どんな顔でこの愛しい人の大好き顔を見ればいい?
どんな声を、どんな内容を、その鼓膜に響かせればいい?
天界にいる時は、必死に教科書を捲ってた。そこにはなんでも答えが載ってて、どんな解き方をしたらいいか、わからない時は参考書を広げればよかった。
でも、恋に関する記述なんて、なかった。
いや、あったかもしれない。でもそれは、誰かの恋で、誰かの主観的な内容で。
僕はそれを知ってても、きっと応用はできない。
「ウリエラ、顔、あげて。」
僕の大好きな、甘い声が僕の鼓膜だけを揺らす。
その言葉に釣られて顔をあげると、思ったよりも近くにあった彼の顔。
そして、触れるだけの、優しいキス。
「じゃあ、今日はもう寝とけ。返事は、まぁいつでもいいから。おやすみ。」
いつも冷たい彼の手は、僕の頬に当てていたためかほんのりと温まっていた。
それが離れていくのは名残惜しかったけど、今の僕には引き止める、なんていう選択肢は残されていないように思われた。
僕の返事なんて決まってるのに。
あえてそれを言わせようとする彼はいじわるだ。
まぁ、そんなところも好きなんだけど。
「冬夜!…………あの…僕も………その……大好き…………だから……。もうっ、おやすみ!!」
恥ずかしくて、また布団の中に逃げてしまったけど、きっと彼には伝わってる。
だって
「分かってる」
って返ってきたから。
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