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好き-冬夜
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ウリエラに、初めての告白をした。
いや、正確に言うと2回目。前に1回、彼の意識がない時に。
でも、面と向かって想いを告げたのはこれが初めてで、柄にもなくすごく緊張していた。
今までも血を吸う時、他の名前も知らない誰かに、何度か口にしたことはあったかもしれない。ただそこにはなんの感動も生まれなくて、ただ虚しくなるだけだった。
そう言ったら相手が乗ってきて、効率の良い吸血手段、くらいにしか思ってなかったんだと思う。
まぁ今回は違ったけど。
本心からの”好き”に、狼狽えるウリエラは可愛くて、でもその愛おしいっていう気持ちが、俺に歯止めをかける。
たぶんまだ体調は戻ってないんだろうな、なんて思うと、吸血欲求がわかないわけじゃないけれど、抑えることができた。
真っ赤に染まった頬に手を添えると、火傷しそうなほど熱かった。
「ウリエラ、顔、あげて」
それに素直に従って、ツイッと俺の方を向いた彼の瞳は潤んでて、余計に加虐心をくすぐる。
でもだめ。
ちゅ、と触れるだけのキスを残す。
彼をいたわるように、優しく、やさしく。
ふっと顔を離す。
もうやめちゃうの?っていう顔が狡い。彼は俺が何重にも張り巡らした防御をいとも容易く破壊していく。
「じゃあ、今日はもう寝とけ。返事は、まぁいつでもいいから。おやすみ。」
逃げるようにドアに手をかけると、引き止めるように声がかけられた。
「冬夜!…………あの…僕も………その……大好き…………だから……。もうっ、おやすみ!!」
そんなの、知ってた。
でもその口から、俺に対してハッキリと発せられた言葉は何よりも愛おしくて、俺の胸を何か甘い物で満たしていく。
「知ってた。」
だから、これはせめてもの抵抗。余裕ぶって返すけど、いっぱいいっぱいの俺の心には、もう隙間なんてない。
気取られないようにさっさと部屋をでた。
ふぅ
「らしくねぇ…」
「まったくよ。胸焼けするほど甘ったるいわ。」
「なに、変態には盗み聞きの趣味まであるわけ?」
漸く1人になれたと思ったのに。
「ウリちゃんの応急処置の方法を教えようと思ってね。」
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