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答え
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「冬夜さん、お昼みたいですよー」
ちょうど考えていた人の声。
ドアを開けると、やっぱり彼で。
「ん、ウリエラは?」
「さっき誘ったんですけど、断られちゃいました。」
そうだろうな。
あいつの性格だったら多分出てこない。で、俺と神崎が一緒にいるのを、嫌がるんだろう。
部屋をでて、無駄に長い廊下を歩く。
「灰吏もいるんだよな。」
「もちろんですよ!もしかして俺とふたりきりが良かったです?」
「そんなわけあるか。」
くだらないやり取りをしていると、悪いヤツとは思えない。しかもこいつは神で、あいつの上司だったわけだから、そこまで嫌う理由もない。
「あれ、ウリエラは来なかったんですか?」
そう尋ねた灰吏は手にカップを持っている。
「呼んだけどいらないって。なんかアイツ、すっごい怒ってるんだけど俺なにかした?」
手に持っていたカップを取り落とさんばかりに驚く灰吏。隣にいた神崎も、薄ら笑いを浮かべながら”わーお”なんて言っている。
ん?変なこと聞いたか?
平静を取り戻した灰吏が、ため息をつきながら言う。
「はぁぁ、それ、本気で聞いてるんですか…。」
「そんなおかしいこと言った?」
「おかしいも何も…。それは誰だって怒りますよ。あんなことをしたら…。」
「あんなことって吸血だろ?ただの食事じゃないか。」
「冬夜さん、俺のことそんなふうに思ってたんですね!俺、悲しいです…。」
「神崎さん、貴方は黙ってて下さい。冬夜、その考えが間違ってるんです。仮にも付き合ってる相手が、自分の血は吸わないのに、他の人のは躊躇わずに吸う。その挙句にあんな顔をするなんて、嫌われて当然ですよ。」
あんな顔?別にそんな表情変えてなかったはずだけど。
「冬夜さん、すごくえっちな顔してましたよ。俺でも欲情しかけましたもん。」
あー、そういうこと。
「つまりは嫉妬?」
「そうです。そのくらい自分で気づきなさい。ここで貴方達の仲が悪くなったら、ウリエラが行くところがなくなるんです。天界にも戻れない。かと言ってこの地上で生きていくには何かと心配でしょう。彼の一生を背負っていく覚悟がないなら、堕天の儀式なんてやめて、彼を天界に帰しなさい。それから…」
暫くの間、説教が続いた。
それこそ食事中も 、ずっと。
でもその内容はもっともなことだったし、兄として、たった1人の家族としてウリエラが大事だっていうことを分かってるから、何も反論することができなかった。
「じゃあ私はウリエラと買い物に行ってきます。冬夜はしっかりと反省しててください。」
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