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入ってみると、そこは本当にアクセサリーショップだった。でも、子供らしいキラキラしたデザインではなく、落ち着いた、一生モノ。
春陽に贈ったら喜ぶだろうか。
ぱぁぁっと顔を綻ばせて喜ぶ春陽の姿を想像しては、頬が緩む。精一杯の告白と、束縛の証を、喜んで受け取って貰えるという幸せな妄想。
彼にはどんなデザインが似合うだろう。
目の前にあるのはシンプルな円形のペンダントトップ。春陽の純朴な美しさを引き立てるような、彼のために作られたかのようなそのデザインに、目を奪われる。
ウリエラの方を見ると、店主と思われる初老の男性と、楽しげに話している。
リングを手に取り、クラシカルなレジスターの置いてあるカウンターへと向かう。
最新のものとは違って少し大きいそれの影に隠れていた1人の女性が姿を現す。品よく歳をとった、美しい女性が。
「いらっしゃいませ。」
「これを、プレゼント用にお願いしたいのですが…。」
人の良い笑顔を浮かべながら、その女性は品物を受け取る。淡々と包まれていくそれに、また、魅入られる。
「このペンダントね、大好きなんですよ、私。主人が作った作品の中で、これが一番好き。」
「へぇ、ご主人が作ってらっしゃるんですか?」
「ええ。この店は主人と二人でやっているんです。あの人が、作ったものを買っていく人の姿を見たいからって。」
話していてもまったく作業の手は止まらない。流れるように、綺麗にラッピングされていくペンダント。
「そうなんですね。すごく、素敵だと思います。」
「うふふ、そうかしら。はい、こちらでよろしいですか?」
そうして差し出されたものは、とても可愛らしく包装されていた。何やらついているタグには、”Dear My Lover”なんて書かれている。
「あの…これは?」
「あらやだ、違ったかしら。アクセサリーを見てる時も、私達夫婦の話をしてる時も、貴方とても優しい表情をしていたから…。」
そこまで見ていたのか…。余計なことをしてしまったと少し慌てる彼女は、年齢なんて感じさせないほど可愛らしかった。
「いいえ、あってますよ。これを持って、気持ちを伝えようかと思ってたので、ありがとうございます。」
「本当に?よかったわ!頑張ってくださいね!」
はい、と返事をして時計を見ると、思いの外時間が経っていたことに驚く。
「ウリエラ、そろそろ行きましょうか。」
まだまだ楽しそうに話していたウリエラに声をかけ、店を後にする。
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