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プロポーズ
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「あの、春陽」
「なんですか、灰吏さん?」
エルが父さんに電話をするとかで、さっきの話は1回中断された。続きはまた夜に、てことだったから、今は何もすることがなくて、灰吏さんとふたり、リビングにいる。
「触っても、いいですか?」
隣に座っている彼が、こちらに向き直し、そして何故か手を構えている。いつもよりも見上げなければならない位置にある顔がやけに真剣で。
「はい、どうぞ?」
なんでそんなことを聞いてくるんだろう?
不思議に思って、でも減るものじゃないし、断る理由もない。
ぷに
と、頬をつつかれた。
少しだけ緩んだ灰吏さんの顔。僕がされるがままになっていると、徐々に激しくなる手の動き。
「はいりひゃん?」
「はっ、失礼しました。あまりに気持ちよかったもので、つい…」
もしかして灰吏さん、子供が好きなんだろうか。ウリエラの世話もしてたみたいだし、そうかもしれないな。
新しい1面を知って、嬉しくなる。
「ねぇ、灰吏さん」
「はい?」
「僕はいつまでこの姿なんでしょうね」
「…やっぱり戻りたいですか?」
戻りたい、というか変な感じがする。過去には確かに通ってきた道なのに、今までと違う景色が怖い。
成熟した頭の中身と外見のちぐはぐさ。多分それが違和感の正体。
「戻りたくないって言ったら嘘になりますけど、まぁこれも悪くないかなって。」
この姿だったら貴方はきっと、触れてくれるんだろう。戸惑いもなく、弟に触れるように。
ポンと頭に置かれた手。
「そうですね。ふふ、私は貴方がどんな姿でも、一緒にいますよ」
なんですか、それ。
微笑んだ彼の口から紡がれた言葉は凶器。無自覚は恐ろしい。
「そんな、プロポーズみたいな…」
「え?えっと、その、そんなつもりではなくて…」
気づいてなかったのか、今更顔を赤くする灰吏さん。
そのままお互いに口を開くことはなくて、気まずい雰囲気になる。
「って、あれ? 春陽少し大きくなってませんか?」
「え、本当ですか?」
「ええ、身長も伸びていますし、このあたりも少し硬く…「ただいま、春陽ー!パパだよー」」
このあたり、といって灰吏さんが僕の肩を触った瞬間、大きく開け放たれたドア。
そこから入ってきたのはいつになくテンションの高い父さんだった。
「あぁ、邪魔しちゃったかな。」
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