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飴
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「っふ…くぅぅ………ンンンッ」
無理矢理与えられる快感に反応してしまう身体が恨めしい。
最初の頃は、嫌で嫌で、これは夢なんじゃないか。夢なら早く覚めてほしい。
そう思っていた。願っていた。
でも今はやけに頭がスッキリしている。すごく冷静で、思考もしっかりと働く。
それはたぶん、いい意味じゃないことは分かった。頭が勝手にセーブしてるんだと思う。僕が壊れないように。
でもやっぱりそんな簡単にはいかない。
心は麻痺しているのに、身体は刺激に従順で、その矛盾に僕は、気が狂う一歩手前だった。
「声抑えてんじゃねーよ。あーあー、血が出てる。もったいねぇ」
キツく噛んでいた唇が切れているようで、口の中は鉄の味がした。
▽
「ふぁぁ…ねみぃ」
ようやく緩んだ腕から抜け出す。
どれだけ吸われたんだろう。身体中に空いた穴は、もう血を流してはいない。
干からびて赤黒く変色した血液がもうこびりついていて、動こうとする度にパリパリと剥がれ落ちる。
最初の頃はとめどなく溢れていた涙もいつの間にか止まっていた。
表情ってどうやって変えるんだっけ。
そう思えるほどに、僕はおかしくなっていた。
外されて下に落ちていたネックレスを拾い上げる。ジャラリと零れるチェーンが冷たい。
僕は貧血でフラフラしながらも、なんとか部屋へと向かう。何を考えていた訳でもなくて、ただただ、行かなきゃいけない気がした。
部屋に着いた瞬間に、崩れ落ちた。
その時に机の上のものを引っ掛けてしまったらしい。ガサガサと音を立てて落ちてきたそれらを一瞥する。
目の前に転がってきた、紙に包まれた球体。
____それは君が儀式をする前、辛くなったら使ってよ。楽になるはずだから。
前に神崎さんから貰って、そのままにしておいた飴のようなものだった。
それを手に取って、紙を剥く。そして口に含む。
普段ならそんなことしない。
何かも分からないものを口に含むなんてそんな恐ろしいことは。
でも、それに縋るしかなかった。
それだけが、僕の希望だった。
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