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昨日
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「クロスフォード。ウリエラ クロスフォード、早く起きなさい」
真っ白な部屋。抜けるように高い天井にはライトなんてないのに、すごく明るい。
ぐるりと部屋中を見回す。
僕のことを起こした人物は、僕の眠るベッドの足元に立っていた。
「ふぇ…っは、ミカ課長、おはようございます!」
ジャン・ミカ戦天使課課長。
透けるような銀の髪を清潔に硬め、細いフレームのメガネは彼をより神経質そうに見せる。
確か”昨日”ヴァンパイア討伐の任務の前に会ったはず。っていうかここどこ?
「あの、昨日の任務は!?」
ほとんど表情は変わらなかったけど、一瞬だけ、眉がぴくりと動いた。
「そういうことになっているのですか。ええ、任務は失敗ですよ。こちらの不手際で」
失敗?
初任務を失敗した。その事実が大きかった。どうしよう、兄さんに顔向けできない。昨日、天界を出てからの記憶が曖昧で、何があったのかも分からない。
「クロスフォード、早く準備をしなさい。神様がお待ちです。」
神様が?
あったこともない神様が、任務を失敗した僕を呼び出す。嫌な予感しかしないけど、課長を待たせるわけにはいかない。
ご丁寧に枕元に畳んであった戦天使の軍服を身につける。
「…あの、課長、見られてると着替えづらいんですけど…」
「何を言っているんですか。そんなことを言っている暇があったら、早く着替えなさい。」
僕の要求は、お説教で返ってくる。羞恥心はかなぐり捨て、すごい速さで着替えた。
▽
コンコン
「神様、ミカです」
「どうぞー」
やけに軽い声が中から聞こえる。神様ってもっと年老いた威厳のある人を想像してたんだけど…。
「失礼致します。ウリエラ クロスフォードを連れてまいりました。」
「お初にお目にかかります。ウリエラ クロスフォードと申します」
「ウリエラくん、待ってたよ。体調はどう?」
気さくに話しかけてくる神様に、少し拍子抜けする。でも、馴染みやすい人で良かった。
「神様にご心配いただけるなんてもったいなき幸せ。お陰様で全快いたしました。」
「そう、良かった。ところでさ、ウリエラくん、良かったら俺のとこで働かない?」
「へ…?」
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