アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
いたずら
-
そのころ
「うっわ、何この臭い」
朝、いつもより早く目が覚めた。灰吏さんを驚かせようと、リビングに行った僕。そこは久しぶりの血臭に包まれていた。
でも、どこを見回してもカラダは無い。
じゃあウリエラ?
それは違う。あの最初の一件以来、冬夜はそんなに酷く吸ってないはず。っていうかあの冬夜が、そんなことできるはずがない。
「まさか…灰吏さん?」
それはないと思った。でも、絶対に違うとも言いきれなかった。そこから体が動くのは、早い。
バタバタと廊下を走る。
灰吏さんの部屋までは遠くて、でも一息に駆け抜けた。
はやる気持ちを抑えながら、そぉっとドアを開ける。スゥスゥと規則的な寝息が聞こえて、ひとまず安心した。
ベッドの端に腰掛けてみても起きない灰吏さんは、相当疲れているんだと思った。
最近はずっとバタバタしてて、それを全部灰吏さんに任せてしまっていた。
気持ちよさげに眠る彼の横顔が綺麗で、いたずら心が疼く。
これだけぐっすり寝てたらちょっと触っても起きないかな…
ゆっくりと、立てた人差し指を顔に近づけた。起きるか起きないか、ギリギリの緊張感。心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい大きくて、意図せず息を潜める。
あとちょっと、その時
「…ぅ…んん……」
突然発した声に起きたんじゃないかと思ってヒヤリとする。
「寝言…?」
もう1回、いいかな?
この緊張感がだんだん楽しくなってきた。そろそろと伸ばした指先が、今度は的確に、皮膚を捉える。
「灰吏さん、今だけは、触れてもいいですか?」
起きないように小声で、呟いた言葉。起きてる時だったら、こんなに恥ずかしいことは多分できない。
今だけ。
その背徳感は甘美。イケナイことをしてるっていう事実が、僕をゾクゾクさせる。
もうちょっと…
ガチャ
「灰吏、ウリエラ見てねぇ!?」
「…ん…春陽?」
「え、、冬夜?っあ、っと灰吏さん!えっと…これは……その……」
「ウリエラがどこにいるか、知らない?」
飛び込んできたのは冬夜。焦った様子の冬夜と、焦った僕。その間に状況の掴めないような表情の灰吏さん。
灰吏さん?
そうだった。
灰吏さんが無事なら、あの血はもうウリエラしかありえないじゃないか。
「ウリエラが、いないの!?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
107 / 238