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電話
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「色々と情報が多すぎて混乱してるんだけど…。え、神崎って神だったの!?」
エルにひとしきり説明した。創汰さんは黙っててって言ってたけれど、状況が状況だったから、僕達は彼の正体を告げることにした。
「ってことはウリちゃんが天界に連れてかれたかもしれないってことよね。うん、連絡はしてみるけど繋がるかは分からないわよ?」
「それでもいい。出来ることはやりたい」
そう言い切った冬夜の顔は、これまでに見たことがないほど真剣だった。それほど一途に、ウリエラを思っている。
僕は?
灰吏さんが好きだ。って思ってても、この関係が崩れるのが怖くて何も言い出せない。
ただの、意気地無し
ウリエラが戻ってきたら、想いを告げよう。
でも、このまま見つからなかったら?
帰らないって言ったら?
多分そうやって全部が先延ばしになっていく。それを心のどこかで期待してしまっている自分に、嫌悪した。
「大丈夫ですよ、きっと見つかります」
俯いて黙り込んでた僕の手を、ぎゅっと灰吏さんが握る。
その時
『はい、神崎ですー』
電話を握っていたエルが驚きのあまり取り落としそうになる。
「ちょっと、あなた今どこにいるの!?」
『あ、薬利先生、すみませんでした。勝手に出てきてしまって。実家に帰ってこいっていう連絡があったので、バタバタしてて』
「実家って天界のこと?」
『あー、あのふたり話しちゃったんですね。まぁもういっか。そうです、俺天界に帰ってるんですけど、もう職場復帰は難しそうですね』
神様なら下界での仕事なんてどうだっていいじゃないかと思うのだけど、彼にとってはそうじゃないらしい。
ただ、このままエルに任せてるとなかなか本題に入れなそうだったのでその手から電話を奪う。
「創汰さん、ウリエラがそっちにいませんか」
まともに返答が来るとは思ってなかった。誤魔化されることも、嘘を疲れることも、想定していた。
『ウリエラくんですか?はい、いますよ』
案外あっさりと、答えが返ってきたけど。
『まぁ、彼が帰るかどうかは分かりませんけどね』
その一言は、すごく余計。
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