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「本当に届いた…」
ウリエラがいなくなってから1週間。外を探しても見つからなくて、ウリエラは天界にいるっていう創汰さんの言葉を信じるしかなかった。
自分のせいで…なんて自分を攻め続ける冬夜は、進展もなくただただ過ぎていく時間に、次第に憔悴していっている。
そんなある朝。
いつものように郵便受けを見に行った灰吏さんが、珍しく慌てた様子で戻ってきた。
その手には一つの白い封筒。
送り主のわからない、真っ白い封筒。そこには天使の羽を模したような紋章が描かれていた。
「この紋章は…神官庁のものです」
「っ貸せ!」
何日もそうしていたようにソファに寝そべっていた冬夜が、すごい早さで灰吏さんの手から封筒を奪う。
ビリビリと封筒を破き、開封した。中に入っていたの1枚の手紙と、もう一回り小さな封筒。
『あれから一週間、遅くなってしまって大変申し訳ありません。
冬夜さんと春陽さん、天原さんの三人分の特別通行手形を発行しました。今日の夜に迎えの者が行くと思いますので、その時までに準備をしていて下さい。
あ、そうそう、薬利先生には内緒ですよ?
久しぶりに皆さんに会うのが楽しみです。ではまた今晩にでも。 神崎 創汰』
手紙にはそんなことが記されていた。
「今晩!?そんな急な…急いで準備しなきゃ」
僕のその言葉で、全員がすぐに部屋へと戻っていった。何日滞在するかも分からないけど、とりあえずの着替えをバッグに詰める。
▽
あらかた詰め終わって、確認をし始めた時、ドアがノックされた。
「春陽、私ですが、入っても?」
「どうぞー」
声をかけると早々と準備を終わらせたであろう灰吏さんが部屋に入ってきた。
「少し話したいことがありまして」
「はい?なんですか?」
「まず最初に、天界に入っても、多分歓迎はされないでしょう。特に私と冬夜の二人は。裏切り者と悪魔ですからね」
そうだった。人間である僕は分からないけれど、二人が天使達によく思われないのはなんとなく察することができる。
「それで嫌な思いをするかも知れません。そして私達がいつも貴方の傍にいられるとも限らない……」
そこで突然黙りこくってしまう灰吏さん。それも何かを考え込むような、悩むような、難しい顔をして。
「灰吏さん?」
「…………春陽」
「はい?」
「もし私が、貴方に好意を寄せていると言ったら、受け入れてくれますか?」
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