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二
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◆◆◆◆◆
凪が目を覚ますとそこは、見知らぬ部屋だった。
肌に触れる柔らかい感触に自分が座布団の上に寝かされていることに気づく。どうやら畳の上に座布団を置かれ、その上に寝かされていたようだ。
少し体を起こして部屋の中を見渡す。六畳ほどの広さで家具は何もなく、殺風景な部屋だ。外はもう夜なのか、部屋の中は暗く何処か寂しさを感じる。
此処は一体どこなのだろうか。確か、自分は何処ともしれない路地裏で意識を失ったはずだ。
そう思案しながらも、人の姿へと変化する。
しかし、今だ回復しきれぬ体では完璧に変化することは叶わず、耳と二股の尻尾はそのままで残ってしまった。
人の姿になったことにより、今まであった毛皮がなくなったためか僅かな寒気に凪は、ふるりと身を震わせる。誰がしたのやら、座布団の横に、律儀に畳まれて置いてあった自分の着ていた着物を凪は羽織った。
ぴくり。
慣れた手付きで、着物を着終わると、凪の耳が何かの音を拾う。
反射的に背後を振り返ると、障子には一つの大きな影が月明かりに照らされていた。その影は障子に手をかけ、凪は思わず身構える。
開かれた障子から顔を出したのは一人の男だった。暗いながらも、男がひどく整った顔立ちをしている事が分かる。そして、額から生える二本の鋭い角から、その人物が自分と同じ人ならざる者だという事も見て取れた。
「あの猫又か?」
凪を見た男が、少し眉を潜めて口を開く。
「なぜ、あのまま放って置いてくれなかった」
しかし、凪はそれに答える事はせず、男を憎らしげに睨んだ。
「死にかけている同族を見つけたら、普通助けるだろう」
「俺は助けて欲しくなかった」
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