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七
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最後の一口を口に入れようとした時に、耳が慌ただしい音を拾う。
「ちょ、離せ!」
「嫌だねー。それに、自分だって気になってた癖に」
二人分の足音と共に、何やら言い争う声が聞こえた。
「……?」
首を傾げながら、残りの粥を口に含む。
「どうした?」
「いや……」
特に気にすることでもないので言葉を濁すと、紅夜にも言い合う声が聞こえてきたらしく、後ろを振り返る。
その瞬間、スパーンと大きな音を立てて障子が開いた。あまりの煩さに顔をしかめながら、障子の方を見る。そこには、額から一本の角を生やした茶髪の青年の姿があった。どうやら、彼が障子を開けた主らしい。
「お前、もっと静かに開けたらどうなんだ」
その横から、白い髪の少年が頭上に生えた、髪と同色の凪と同じような耳を抑えながら顔を出す。少年の瞳は左右で色が異なっていた。右目が青、左目が黄と、珍しい色合いの瞳に思わず惹かれる。
「第一印象は大事だからね! 派手に行かないと!」
「多少は、此方の事も考えてくれ……」
紅夜が頭を押さえながら、青年に注意する。
「ごめん、ごめん」
それに、青年は特に反省したとは思えない風に謝りながら、部屋に入ってくる。
「で、その子が新しく来た子?」
「ああ、そうだ」
「ふーん……」
何故か値踏みをされる様に、青年の青い瞳で見られ、少し居心地の悪さを感じる。
「また猫ねぇ……紅夜って雫にしろ、その子にしろ、よく猫を拾ってくるよねぇ。何、紅夜って猫好きだっけ?」
「いや、そんな訳ではないんだが」
紅夜は青年の言葉に困った様に、頬を掻いた。ニヤニヤと笑いながら、青年は紅夜の隣に座ると、凪の方へと向く。
「俺は蒼夜、紅夜の弟だよ。よろしくね、黒猫君。で、あっちの白いのが、雫」
まず、蒼夜と名乗った青年が自分を指差し、次に腕を組みながら、障子にもたれ掛かっている、雫と呼ばれた少年を指差した。
「黒猫君の名前は?」
愛想の良い笑みを浮かべて、蒼夜が訪ねてくる。
「凪だ」
「凪君ね、よろしく」
柔和な笑みを浮かべる蒼夜に対し、雫はじっと、何処か剣のある瞳で凪を見つめてくる。
「ほら、『よろしく』位言ったらどうなの?」
「別に、仲良くする気なんてないから」
蒼夜の言葉にそっぽを向き、もたれ掛かっていた障子から身を起こして、雫はこの場を去って行った。
「あ、こら。待てよ!」
そんな雫に、蒼夜が慌てて立ち上がる。
「ごめんね、普段はもう少し愛想が良いんだけど……」
そう、凪達に謝ると蒼夜も雫の後を追って行ってしまった。
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