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八
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「すまない、騒々しかっただろ」
「そうだな」
まるで、嵐のようだった二人が去って行くのを見ながら、紅夜が苦笑いを浮かべて話しかけてくる。それに、素っ気なく答えると、凪は自分より高い位置にある紅夜の顔を見上げた。
「あまり、似ていないな」
「ん? あぁ、蒼夜の事か」
先ほど、紅夜の弟だと言っていた青年。けれど、二人の容姿はあまり似ているとは思えなかった。むしろ、硬派な印象を与える紅夜の容姿と、軟派な印象を与える蒼夜の容姿とでは、正反対だと言える。
「血の繋がりはないからな」
「そうなのか……」
あまり、良い話題ではなかったのかもしれない。少し、気まずさを覚える。けれど、紅夜は特に気にしてはいない様だった。
「それより、体調はどうだ?」
「悪くはない」
凪の心境に気付いたのか、紅夜が話題を変える。
「なら、良かった。簡単な屋敷の案内と、会わせたい人が居る」
「会わせたい人?」
突然の申し出に首を傾げる。
「この屋敷の主だ」
「お前の屋敷ではないのか?」
てっきり、この屋敷はこの男の物だと思っていた為、少なからず衝撃を受ける。
「そうだな。俺は、此処の居候みたいな者だ」
「居候……」
よく、それで自分なんかを拾ってきたものだなと感心する。しかも、先程の蒼夜の口振りからして、これが初めてというわけではなさそうだ。この男が、お人好しだと言われる理由が少しだけ分かった気がする。
一体、今までどれだけ凪の様な奴を拾ってきたのだろうか、少しだけ気になった。
「じゃあ、行こう」
「ああ」
立ち上がる紅夜に続いて、凪も立ち上がり部屋を後にした。
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