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青山一郎
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スポットライトを浴びた酔っ払いの名は青山一郎という。酔っ払いになる前の彼は大好きな彼氏とお決まりのラブホでいちゃいちゃしていた。
そう彼はゲイである。ゲイであるが一晩限りの関係をよく思っていなかった。その為付き合っては別れを繰り返していたのだ。
しかし今回の彼氏はいつもと違っていた。バーで知り合い、親睦を深め半年が過ぎやっと恋人になった。そしてその日は付き合いだしてから二度目の記念日だった。
浮かれきっていた彼が同棲しないかと切り出そうとした時に事件は起きた。
「あおくん。俺ね、子供ができたんだ。」
一郎はゲイである。まだ世の中は男が妊娠できる時代ではない。確かに彼氏の胎内に何度も出し孕めとは言ってきたが。
「だからもう、これで最後にしよう」
「いや!お腹の子もお前も責任もって俺が養う!」
父子家庭なんてそんな辛い思いはさせないと必死になって止める。しかし相手の顔には、何言ってんだこいつ、と書いてある。
子供とは彼氏とその彼女の間にできた子供であって決して一郎との間の子ではない。そう説明され、あぁ成る程。とは成るが、なってはいけないのだ。何故自分と付き合っていながら彼女がいるんだと、しかも子供まで。
この時になって漸く一郎は理解したのだ、自分が浮気をされていた、のではなく彼女が浮気をされていたのだと。
これが呑まずにいられようか。
一郎は女を好きになる事ができない。可愛いなとか綺麗だなとかは思うには思うが興奮しないのだ。
愛がなくとも性行為はできる。そういう人もいる。一郎も女と寝ようとした事はある。それも一度や二度ではない。二桁になるまでだ。しかし、チャレンジするはいいが反応しないのだ。触られようと咥えられようと自身のソレは大きくなるばかりか萎んでしまうのだ。前戯で勃たない男と寝れる女などいる筈もない。
28年間これで生きてきた。
若い頃は何故自分はゲイなのかと悩んだ時もあった。精神科医に掛かり治してもらおうとしたが、それは病気ではない、受け入れて生きていきなさい。と言われ諦めるしかなかった。
一郎は絶対が欲しかった。自分の事を一生愛してくれる人、人間の中で自分の事が一番好きな人。それが欲しかった。
男女間でも難しいそれを、異性愛者の一郎が手に入れられる事など奇跡と運命がヘマをしない限り不可能であるのにも関わらず。
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